スピーチの骨格

スピーチの基本的な形

2次試験のスピーチ時間は2分。基本的な形、時間配分は、だいたい以下のとおり。

Introduction どうして自分がこのトピックを選んでスピーチをしようと考えたかざっと述べる。
So today, I want to talk about ... .
15秒
Body 自分の立場を明示 これからするスピーチの結論めいたことまでをほのめかし、「2つ理由がある」と言う。
It is rather better to ... than to ... , I think. There are mainly two reasons ... .
5秒
Reason 1
Example 1
First, ... .
For example, ... .
45秒
Reason 2
Example 2
Second, ... .
For instance, ... .
45秒
Conclusion ...というわけで、結論だ。私はこう思う。
So, in conclusion, ... . Thak You.
10秒

Introduction:
必須である。これからどんなことについて話すのか、なぜその話をするのか、と言ったことを簡単に述べる。
話の導入として、必須。とは言ってもそんなにウェイトを置く必要はない。1〜2センテンスで十分。
ここがあまり長くなると後がつかえるので、簡単にやること。

Body:
スピーチの頭で、結論をにおわせる。
これは必須。スピーチトピックに対する自分の立場、結論めいたものはここで必ずにおわせること。最後まで言いたいことを言わないスピーチは、不親切なので、評価が下がる。また、途中でスピーチの流れが止まりかけてしまったようなとき、相手が方向性が見えないままに聞いていたとすると、必要以上に相手を不安にさせてしまう。結論を最初に持ってきておかないと、傷が深くなりやすくなる。
Reasonをこのあと2つ挙げることになるので「それには2つの理由がある」と言うこと。

Reason, Example は2つ必要。
相手に「もっともだ」と思わせられるような理由を述べていく。スピーチのいちばんの華となる部分である。
「Reason」「Example」という形で話をしていく。
「まず第1に、これこれはこういうものである。例えば、このあいだ発表された国勢調査では...。」
とか、そんな感じ。
Exampleが重要。これがリアルでグッとくるものでないと、話の内容が上滑りになってしまい、説得力がなくなってしまう。

よく、Reason, Example は3つ必要だという人もいるが、僕は2つで十分だし、むしろ、2つのほうが良いとさえ思う。
なぜなら:
・本番の1分のスピーチ準備時間に5つのトピックからどれを選ぶか決断し、しかも選んだトピックについて重複しない3つの理由と example を考えるというのは、現実的にかなりキツい。
・90秒で3つ理由を言うのはあわただしくなる。どこかで混乱すると、たちまち制限時間の2分を超えてしまう。
・そもそも、2つの理由のバランス(後述)がよければそれで十分である。
というところである。


Conclusion:
そして、結論。「というわけで、私はこう思います。 Thank you.」
「So in conclusion, I think today's children are so exausted by today's education system. Thank you.」
時間が余ってしまいそうな雰囲気だったら、もうちょっとおまけに何か言う。
「So in conclusion, I think today's children are so exausted by today's education system. ... And I really hope that they will find true value of human's life. Thank you.」
とか。


Example

ということで、スピーチの流れを掴んでいただけたと思うので、Exampleとは何かということについて述べていきたい。
"Example"は、スピーチの中では「Reason」を後ろからサポートする道具である。
具体的には、以下のようなものが使える。
・Anecdote
・Fact
・Statistics

順に見ていこう。

・Anecdote
個人体験である。誰にでもあるものであり、かつ、その人にしかない固有のものである。
これを Example として効果的に使えると、非常に強い。
例:
「アマゾンの Rain Forest の奥で見た子供たちは森の中で元気そうに遊んでいた。あれを思い出すたび、今の自分たちはいったい何なんだろう、と思う。」
「飼っていた犬が死んだとき、とても悲しかった。」
「高校生になる子供がエッチサイトを見るので困っている。」

・Fact
客観的な事実。
「アメリカはイラク戦争に勝った。」
「国連主導の"Nerica Rice"プロジェクトにより、アフリカの土地で育ちアジアの品種並みの収穫力を持つ稲が作られている。」

・Statistics
"Fact"の一種ではあるが、あえて別に分けてみた。数字を伴うという点で、より客観的。
「中国の経済成長率は、このところずっと年率10%である。」
「日本の失業率は5.6%で、これは、欧州の〜国と同じぐらいである。」


海のものと、山のもの

それからもうひとつ。
理由、例を挙げるときは、同じような属性のものばかりを並べるのではなく、対比のつく2つの例を用意しよう、ということである。
それが、「バランスのよい2つの理由」となる。

ひとつを海からから持ってきたなら、もうひとつは山から。ひとつが動物だったら、もうひとつは植物から。
「海のものと山のもの」という具合である。
(ちなみに、この「海のものと山のもの」というのは、黒柳徹子著「窓際のトットちゃん」に出てきた学校の校長先生が、毎日お弁当を作るおかあさんたちがおかずに迷わないように分かりやすい目安の標語としたというもの。)

スピーチであれば、 「相対する2つの属性」には、例えば以下のようなものがある。
Short Term, Long term
Physically, Mentally
Public, Personal

Short Term, Long term の例:
エイズ禍を抑えるには?
short term: コンドームを配る、都市部での麻薬の流通を減らす
long term: 治療薬を向上させる、教育する

Physically, Mentally
例:文化財の存在意義は?
physical: その存在そのものが文化を具現化している
mental: アイデンティティの拠り所になる

Public, Personal
例:失業が与える影響は?
public: 消費が抑制されて不景気になる。
personal: 失業者自身の生産性が低下し、自己成長の機会を失う。ゲンナリする。

最初にひとつ Reason と Example が頭に浮かんだら、それがどういう属性を持ったものなのか判断し、もうひとつを探すときは、それと対照になる属性のものを探すようにする。

Short Term, Long term の例:
エイズ禍を抑えるには?
short term: コンドームを配る、都市部での麻薬の流通を減らす
 → ナイロビのディスコの前でコンドームを配っているのを見た。なるほど、と思った。
long term: 治療薬を向上させる、教育する
 → ブラジルでは、政府がプロパガンダを盛んにしているとニュースでみた。長期的にはこういう努力が重要だと思う。

Physically, Mentally
例:文化財の存在意義は?
physical: その存在そのものが文化を具現化している
 → 福岡の柳川下りをしたとき、川から橋や城壁を見ているとその文化に一体化してしまったような気になった。
mental: アイデンティティの拠り所になる
 → 私は京都出身だが、東京で故郷のことを考えると、子供の頃好きだった銀閣寺を思い出す。

Public, Personal
例:失業が与える影響は?
public: 消費が抑制されて不景気になる。
 → 「夏のボーナスがでパソコンを買おうと思っていたが、買えなくなった。」と友人が言っていた。
personal: 失業者自身の生産性が低下し、自己成長の機会を失う。ゲンナリする。
 → 長期失業者はますます失業が長期化すると統計にもある。生産性の低下と自己意識が下がることが原因だ。

得てして、ある程度の制約があったほうが、人間の記憶はかえって引き出されやすいものだ。
「おとといしたことを何か思い出せ。」と急に言われてもびっくりしてしまうものだが、「おとといの午後7時ごろ何をしていましたか?」と聞かれた方が答えやすい。
スピーチネタを考えるときも、こうやって絞込の方向を考えてから探したほうがやりやすい。


こういう具合に、まず、目にとまったトピックからでよいから、適当に「どんなことを話す」「具体例として何を出す」ということを考えていこう。

B5ぐらいの紙1枚のトップにトピックを書いておき、その下に「結論」、「理由」、「理由」と間に十分なスペースを空けて書いていき、「結論」のところに取りたい立場、「理由」のそれぞれのところにその結論をサポートするような対比のつく2つの理由を書いていこう。
思いつくなら、理由の下の空いたスペースに「具体例」も書いていく。

この作業は英語でも日本語でも良い。
メモ程度にちゃちゃっと書いていこう。


ということで、「スピーチの骨格」はおしまい。
続けて、ネタの収集方法へ。

2003/12/28


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