マヨネーズとマヨネーズ"セブン"


僕の友人に、"マヨネーズ嫌い党"という一群がいる。
要はマヨネーズが嫌いらしいのだ。
僕はマヨネーズは好きである。ゆで卵なんかにたっぷりつけると、ちょっとした酸っぱみとトロっとした舌感が玉子の白身のチュルっとした感じと黄身のモソモソした感じなんかとあいまって、なんとも言えない。

今日の昼食は、豚肉の焼うどん、スイートポテト、それに、トマトとアスパラ、セロリのサラダだった。
サラダには半分になったゆで卵が乗っていた。

なんだかんだで、薄あじ、量の制限さえ守れば、それなりのものが食えるものだ。

それに加えて、今日はドレッシングとして、"マヨネーズセブン"の銀色の小袋がついて来た。

(マヨネーズセブン・・・)
ついに久しぶりにであった。僕はコイツとの再会を、ずっと待っていたのだ。


パック入りの調味料は、いろんなものが出てくる。
朝食時のジャム、マーマレードもそうだし、しょうゆ、減塩醤油もそう。中濃ソースがでることもあれば、減塩ソースがでることもある。ドレッシングも出てくる。

そして、僕にとって興味深いのは、他に、「マヨネーズ」と、「マヨネーズセブン」、という2種類の調味料が出てくることがある、ということである。

以前の夕食で出てきたけれど使わなかったマヨネーズがここにある。
ちょっと見てみよう。

マヨネーズの袋は透明で、濃い紺色の文字が印刷されてある。

「食欲をそそる マヨネーズ」

と、そこには書いてある。
おそらく、「マヨネーズ嫌い党」の面々には理解できないコピーだろう。

その下に、枠どりしてあって、原材料名。
「食用植物油脂、卵黄、醸造酢、食塩、化学調味料、香辛料」

NET 10g。

マヨネーズセブンの袋は銀色である。

「エネルギー40kcal」

と、中央にデカデカと黄色い文字で印刷されているのがまず目につく。
あとは、マヨネーズと同じ濃い紺色の印刷だ。

しかし、その印刷の頭で、僕はまた興味深い文字列に目が止まる。
そこには、

マヨネーズセブン
(マヨネーズタイプ)

と、書いてあるのだ。
("マヨネーズタイプ"・・・)

わざわざ"タイプ"と銘打つからには、きっとなにかマヨネーズとは違うのだ。
マヨネーズにあってはならない何かがあるか、マヨネーズになくてはならない何かが欠けているか、あるいはその両方の事情により、「マヨネーズセブン」には「僕はマヨネーズだ。」と強気に主張できないのだろう。

僕は、前からその理由が気になっていた。
そこで今回、ついに僕は「マヨネーズセブン」の販売元に問い合わせをしてみた。
「マヨネーズ」と、その販売元は同じようだった。

電話の前に、もうちょっといろいろ調べておこう。
マヨネーズセブンは、NET 7g、エネルギー40kcalたん白 0g、糖質 4g、炭水化物0.3g、カリウム 0mg、ナトリウム37mg、カルシウム1mg、リン2.3mgである。

保存方法:冷暗所にて保存して下さい。開封後は一度で使い切って下さい。

電話は簡単につながった。

「お忙しいところ、すみません。御社の商品についてお伺いしたいのですが・・・。」
「はい、なんでしょう?」
電話の先の声は、中年のオジさん、という感じだった。
向こう側のテレビの音が聞こえて来た。

「僕は都内の病院に腎臓病で入院してまして、で、調味料で『マヨネーズ』と『マヨネーズセブン』というのが出てくるんですが、この2つには、どういう違いがあるのかな、と思いまして・・・」
「あー。それはですね。カロリーが違うんですよ。」

「カロリー、ですか?」

「そう。カロリー。マヨネーズだと100gあたり700とかなんだよ。」

(僕は、マヨネーズセブンの袋の数字を確認した)

「マヨネーズセブンは、40kcalって書いてありますね。」
「そう。結局、油の量が少ないんだよ。でね。そうすると、マヨネーズの規格に合わなくなっちゃうんだよ。ドレッシングなんかでもそうだよ。ノンオイルドレッシング、なんてあるでしょ?あれ、"ドレッシング"、っていう名称使っちゃぁ、いけないんだよ。」

そうだったのか。やはり、マヨネーズセブンはマヨネーズの規格に合わないのだ。
そして、その理由は油脂の量であった。
それにしても、ノンオイルドレッシングも"ドレッシング"としてはダメだとは、これは知らなかった。

"マヨネーズセブン"の品名には、
"半固体状ドレッシング"と書いてある。なるほど、マヨネーズとは書いてない。

僕はその両者の成分をざっと比較してみた。
マヨネーズセブンの原材料名は、
食用植物油脂、醸造酢、卵黄、糖類(砂糖、水あめ)、食塩、発行調味料、香辛料、増粘多糖類
とあった。

「・・・成分を見てみると、マヨネーズセブンのほうには、糖類が入ってますね。」
「そう。結局、油が少ないからさぁ。かわりに糖質がでてきてしまうんだよね。」
「・・・それは、油の触感を補うために、糖類が入っている、ということですか?」
「そう。」

オジさんは、つっけんどんだが丁寧にそう答えた。

「でも、いまじゃぁ、食事もよくなったなぁ。私が30年前にはじめて減塩醤油作ったときは、そんなんなかったもんなぁ。」

(え・・・?30年前?)

「・・・オジさん、失礼ですけど、おいくつなんですか?」
「70代半ばだぁ。」

それを聞いて、僕はとてもびっくりした。その声から40代後半、せいぜい50代ぐらいだろう、と僕は勝手に踏んでいたからだ。

「・・・声、すんごい、お若いですね。」
「そりゃぁ、仕事にハリ持ってるもの。何かにハリ持ってないと、病に負けちゃいますよ。」
オジさんは、電話のむこうであっさりとそう言っはなった。

「腎臓かぁ。じゃぁ、ホントはマヨネーズのほうがいいんだけどね。マヨネーズセブンのほうは、糖尿用なんだよ。ところで、アンタいくつなの?」

「結局、毎日の食事なんだよね。アメリカなんか見なさいよ。みんなアメリカさんみたいな病気になっちゃってる。食べ物なんだよね。」

「やっぱ30年ぐらい前に私がこれからはアレルギーが増えるぞ、と言ったら、みんな大笑いしたもんだけどなぁ。」

以下話が長くなった。

01/05/15


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