ナスカ
乾燥してころがるドクロ
カラカラ・カラカラ・カラカラ

笑ってる

剥きだしの骸骨は颯爽と
髪型は落ち武者でとってもキュートね

黄色い砂漠に絶好のプロモーション
これっきゃない!

君たちは、死んでも愉快だ

アレキパからバスに乗って、ナスカに到着しました。夜も夜中に到着した僕は、早速うようよと群がってきた何人かの客引きと交渉しました。「宿はいくらだい?宿まで、いくらで連れていってくれる?」「うちならいくらいくらだよ。」「もっと安いヤツ、いないか?」「ウチはいくらいくらだよ。」

結局、「安い方がよい」と言う理由で、いちばん安い金額をだしてきた男の車に乗り込みました。 すると、宿に向かう途中で、その男が言いました。
「今、地上絵遊覧のフライトの予約をした方がよい。あれは朝しかでないから。」
朝しかフライトがないというのは事前の情報どおりだ。まあ、代理店と話だけでもしておいてもよいかぁ。
僕がそう思いながらぼやぼやしていると、深夜にもかかわらず、車はある旅行代理店の前で止まりました。出てきたのは、いかにもちょっとクセのありそうな男でした。
その男は日本語、英語、スペイン語まじりで話しかけてきました。
「フライトはUS$50だ。」と彼は言ってきた。「地球の歩き方」には、どこで申し込んでも地上絵の遊覧飛行は50ドルだ、と書いてありました。

しかし、どうも、嫌な予感がしました。頼みもしないのにどんどん話を進めていく人間についていくのは、だいたいの場合、ハマりパターンです。
なんか、謀られている気がする・・・
でも、明日の早朝にフライトを探せるだろうか・・・

どうしたものか、と悩んでいると、彼は僕がゆっくり考えるのを遮るように、さかんに耳元で繰り返してきました。
「ヒコウキハ50ドル。Fifty Dollors,Cincuenta Dolares.」
「うるさいよ。ちょっと黙っててくれ。」

こんなふうにたどたどしい日本語をつかう男に、僕はもう他の土地で出会ったことがありました。
僕自身の体験からすると、だいたいにおいて、この地域で日本語を使って接近してくるなれなれしくてしつこくてくどいやつというのは、腹に一物持っていると思っておいて間違いはないのです。

僕は、その日本語を話す男を生理的に警戒し始めました。そして、適当に断っておいた方が良いだろうと思いました。
「話は分かった。今日はもういい。」そう彼に言って、僕は客引きの男に言いました。「今日はもういいから、宿に連れていってくれ。」

すると、断ったはずなのに、その男も一緒に車に乗り込んで、ついてきました。
「うざったいヤツだなぁ。さっさと消えればいいのに。」と思う僕の思惑を知ってか知らずか、男は道中ずっと呪文のように「ヒコウキハ50ドル。Fifty Dollors,Cincuenta Dolares」と僕の耳元で繰り返していました。
「分かったから、だまっててくれ。」
僕は少々イライラしてきました。

宿に着きましたが、夜中ということもあり、入り口は閉まっていました。
客引きの男がなんどか扉をノックすると気のよい純朴そうなおやじが眠そうに出てきました。

宿のおやじはそこにいたメンツをひととおり見くらべて、なんだか事情を飲み込んだ、というような顔をしました。
そうして、フロントのおやじは、「地上絵のフライトだったら、今申し込んでしまうのがいい。」と言いました。
僕は、そこでついに面倒くさくなって、「どうせどこで頼んでも同じだから、いいかぁ。明日の心配もしないでいいし。何かあったら後で文句を言おう。」と、結局、ついてきた男にそこでT/Cで支払いをしたのです。

宿は、「地球の歩き方」にも「宿のおやじは親切」と紹介されていて、たしかに安いところでした。
3畳ほどの空間には、小さな机、それにざらざらと砂っぽいタオルケットがベッドの上に置いてありました。
僕は妙な不安を感じていたのですが・・・

ナント、南京虫にやられました。朝起きると、体中に小さな赤いかたまりができていました。その中心には、小さな水泡ができていました。その水泡が、またすごくかゆいのです。

というわけで、フライトから帰り、午後に近郊の遺跡を巡るツアーをまわってくると、僕はすぐに荷物をまとめ、宿を変えることにしました。

フライト自体は、ちゃんとしたものでした。

こんどはそこそこちゃんとしたホテルにチェックインしました。
で、僕はもういちど遊覧飛行に行こうと、そのホテルのフロントにフライトの予約を申し込みに行きました。
いちおう聞いておくか、と思い、値段を聞いてみると、それがなんと、

「30ドルです。」 という答え。

え? (-_-;

そのホテルの宿代がTV、シャワー付きで一晩で12ドル。全部あわせても、今朝のフライトよりぜんぜん安いじゃない ?!
僕は不思議そうな顔で聞きました。
「どうして、そんなに安いの? 今日、僕は50ドル払って飛んだんだよ?」
すると、想像もしなかった答えが返ってきました。

「この時期はシーズンオフだから安いんですよ。それを知らないで『フライトは50ドル』と思いこんでくる人が多いみたいですけど。」

僕は、あっちゃぁ! と思いました。そうして、客引きの男、代理店の男、宿のおやじの人のの顔を順に思い出したのです。

ナスカ近郊にナスカ時代の墓地跡がいくつかあります。そういうところに行くと、吹きさらしの白骨がそこらじゅうにちらばっているのです。多くは盗掘のために晒されたものということなのですが・・・

下に紹介した写真からも感じられるように、彼らの残した遺産には、いずれもおちゃめに人を食ったような面がみられます。
僕は、盗掘で荒らされて出てきたと言われる骸骨でさえ、彼らが「わざと」その姿をいつか晒すように埋葬したのではないか、という気がするのです。

(写真1)絵はがきから。「暦を知るためのもの」ということで、話は落ち着いたようです。雨が全然降らないので、大地を巨大なカレンダーにした、というところらしいです。地上絵はとても大きいので、グランドレベルからはそれが何なのか絶対に分からないのです。それにしても、ハデなことをやりますねぇ。
この絵はハチドリ。とても美しい。独特の愛嬌です。(リンク切れ中です)


(写真2)絵はがきから。「地上絵」はスペイン語で「Las Lineas」。英語にするとちょうど、「The Lines」というところです。幾何学的な模様も多く見られます。地上絵の線は深さ10cm、幅が20cmほど。正確な測量に基づいて描かれているそうです。
これは「宇宙飛行士」。この絵が「宇宙飛行士」と呼ばれているだけで、そのモデルが地球外生命体なのかは、僕には分かりません。(リンク切れ中です)



(写真3)ガイドブックから。ナスカ土器のレプリカ。これは鯨の絵。地上絵のモデルは、すべて土器のデザインにもなっています。僕はナスカ土器の愛嬌のあるデザインが大変気に入っていて、ナスカを出てしばらく、これのどんぶり形のものがないかと探しまわっていました。このテの絵柄のもので親子丼が食べたいと思ったのです。 しかし、リマの天野博物館で、「顔料に毒性のある鉱物が使われている」と聞かされ、やめました。知らなかったら、今頃僕もドクロになってたりして。(リンク切れ中です)

(写真4)ナスカ時代の織物。レプリカ。絵はがきから。ひょうひょうとしていますが、悪魔だかなんだか、とても縁起の悪い人物だそうです。下のほうの人たちは、あたふたしています。
こんなやつ、こわくねーよ。(リンク切れ中です)




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