パンパ
草原を抜ける
乾いた大地にはゆるやかな起伏

直線にすすむ道
大地は遠い

きまぐれにのぞく岩肌
草を噛む痩牛

旅路はまだ遠く

地平線はほのかに明るく
可能性はわずかに近づいている

アルゼンチンの大草原を、バスで縦断しました。とても長い時間バスに乗り続ける日が続きました。
といっても、幸いなことにアルゼンチンでは混みあった長距離バスに乗ることはなく、道中では座席を2つ3つ独占してごろごろしながら過ごすことが出来ました。
僕はこの長い時間を、スペイン語のテキストのCDを聞いたり、現地で買ったブラジルの音楽のCDを聞いたり、地平線をみたり、星をみたり、ぼーっとしたり、うとうとしたりしながら過ごしました。とにかくこういうバス旅行では、正しく車に乗りさえすれば、あとはただひたすら待っていれば自然に目的地に到着してしまうのです。

僕は、それ以前にサンチャゴ〜ブエノスアイレス間を飛行機で移動するとき、パンパの草原を上から見下ろしたことがあります。
深い緑色をした草原に、何本かの放り投げられたような直線の道が続いていました。
平坦な大地に、道はどこまでも直線なのです。交差する道は、交差して、それっきりまた、倒される前のドミノのように孤独に走っていました。そうして、道の先はその個性によって、あるものは地平線に消えたり、またあるものは雲に消されたりしていました。
僕は幾何学の不思議を見たような気がしました。

一人でいる時間が長くなり、日本語を話さない時間が長くなり、日本の新しい情報が入らないようになると、僕はだんだんと昔のことばかりを考えるようになっていきました。大学に入ったばかりのときのこと、高校生のときのこと、中学生のときのこと・・・。
人の脳は、あたしい情報が入ってこなくなると、昔のことをよく思い出すようになるのかもしれません。
僕は、年寄りが昔のことばかりを話すのは、案外そんな理由なのかも知れないな、などと、ぼーっと考えていました。

僕は、さなぎの中の時間の進行について考えたりもしました。時を急かず、行き先を誤らずに進んでいけば、僕だって、そのうちに次のステップにいけるはずです。

(写真1)

パンパの中をはしる、パンアメリカンハイウェイ。これは朝の写真。ひたすらまっすぐなのです。





(写真2)
犬。パンパの写真は、少ししかない。移動中だったから、仕方ないです。




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