プンタ・トンボ
歩いてきたのだ あの砂丘を
そうしていま のんびりしているのだ 
僕らのあしもとで

ものめずらしげに 首かしげるのだ
日射しをさけて ボヤボヤしてる
黒と白の コントラスト
誰かの前で 立ち止まるのだ

僕らはいま 休んでいるのだ
日射しがとても 強いのだ

海はもう 見えているのだ
バシャバシャと 泳ぐのだ

首を伸ばして くつろぐのだ 
もっとのんびり くつろぐのだ

魚をおなかに いっぱい詰めるのだ
海は冷たくて 気持ちいいのだ

ゴツゴツと 岩肌に飛び乗るのだ
きっと

そうしてまた バシャバシャと泳ぐのだ 
それはとても 気持ちいいのだ
きっと

プンタ・トンボはアルゼンチン、大西洋側の海岸のペンギン大群生地です。
まだパタゴニア圏にはいったばかりのところで、昼間には暑さを感じるところでした。

動物保護区となっているバルデス半島での一日がかりのツアーのあと、僕はちょっと南の街トレレウに泊まり、翌日にそのまたちょっと南のプンタ・トンボに行きました。

プンタ・トンボは、丈の低い灌木がまばらに生える一面の砂地でした。

僕らのペンギン観察ご一行ツアーの乗ったバスが着いたのは、海岸からかなり離れた場所でした。それでももう、砂地のあちこちにペンギンはいました。海の方にもいましたが、陸のほうの、僕がいた場所のずっと遠くにもやはり彼らはそれなりにいました。
あまりにたくさんのペンギンがいるので、若い親は海の近くに巣をつくれないのだそうです。

そんなことにも驚いてしまいます。だって、寸胴短足で歩くのも遅い彼らが、海から遠い砂地にいるなんて、びっくりしません ?!

人に見えないところで猛烈にダッシュしているなどということがなければ、巣と海の往復だけでもまる半日はかかってしまうのではないか、と僕は思いました。
そんな悠長なことで、無事に育ち盛りのヒナが育つのでしょうか?

巣の中にいるものは別として、ペンギンたちの行動は、ゆっくりと歩いている、なんとなく止まっている、どこかの日影で休んでいる、のどれかにまちがいなく大別できました。やはり、彼らにも日射しが強いのでしょう。

観察のために許可された道を海に向かって歩いていくと、道中になんどもペンギンに出くわしました。
人が近づいても逃げ出さないので、僕らは近くによってたくさんの写真をとることができました。
ここらでもあいかわらず、彼らは日影で涼んでいるか、立ち止まっているか、もたもた歩いているかのどれかでした。

よく観察すると、ペンギンの行く道にも幹線道路のようなものがあるようで、灌木の少なくなっている岸からの砂地には、きれいに右側通行ですれちがっていくペンギンたちの姿がありました。
ここらでは、ペンギンも右側通行なのですね。さすがです!
そんな発見にも、なんだか嬉しくなってしまいます。

人間が彼らを観察するために作ったペンギンの幹線道路を越える陸橋の下では、日影をつくっている部分に、ところ狭しとばかりにペンギンたちが休憩をしていました。
特別やる気のなさそうな顔をしているものは、伏せて寝ていました。

そうして、どのぐらい遠くから来たのかも不明な短足で寸胴の彼らは、ようやく砂浜と称する価値のあるほどの波打ちに近づくと、往来の迷惑もかえりみずに波打ち際で伏せて寝ている仲間をよけよけ、海に駆け出し、水を得たとばかりに、ジャバジャバと泳いでいくのです。
黒白のキュートで美しいコートをまとった鳥さんたちには、やはり海がいちばん似合うのだ、と僕は思いました。

それにしても、なんで彼らは、海に入る直前だけ急に全速力になるのでしょう ?!

きれいで澄んだ海に入った彼らは、水の中を自由に飛びまわり、駆け抜け、ときどき顔をだしてプカプカと浮かんでは、また潜って、などとしながらだんだん遠くへ泳いでいくのです。

子育ての時期は、彼らは海に餌を探しに行くと、巣にはしばらく帰ってこないそうです。

何日かの後、冷たい水のなかでたくさんの魚をつかまえて、そのおなかを一杯にしてまたジャバジャバと海に上がってくるのです。

きっと海岸でうたたねをしながら一休みして、もうひと潜りをたのしんでから、またえっちらおっちらと、何時間もかけて、自分の巣にむかって歩いていくのでしょう。

そうしてまた、日影でもたもたしながら、てけてけと海に歩いていくのでしょう。


(写真1)
右側通行。





(写真2)
ミラドール(展望橋)の下でくつろぐ面々。





(写真3)
ミラドールの上から、すぐそばにいたペンギンを撮ってみました。




(写真4)
アップでご対面してみました。





(写真5)
木々の間を抜けて、海へ。



(写真6)
2ショット。




(写真7)
巣あな。ひな鳥がのぞいています。



(写真8)
泳いでいます。気持ちよさそうです。



(写真9)
海からあがるひと、海にいくひと。ここでも、右側通行。



(写真9)
僕らが乗ってきたバス。戻ってきたら、もうすっかりペンギンの日よけになっていました。




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