The makings of an account executive.


「やさしいビジネス英語決定版」 Lesson 37 "Homeless"から。

このビニェット、まず何に驚かされるって、ミッキー・ラミレス(プエルトリコ系の両親を持つ26才)の交友関係の広さである。
とある昼休み、彼女は、荒木裕美と Lee Seymour を引き連れて公園に来てホームレスのジーンに話しかける。彼は、高校を出てから小さな自動車部品工場で働いていたがクビになってしまったという人物である。

「サンドイッチ、食べる?ジーン。」
「いいの?悪いね、ミッキー。」

まるで打ち解けている。

あとから初対面の荒木裕美や Lee Seymour にいろいろ聞かれたくなさそうなことを詮索されたり、「ああでもない、こうでもない」と目の前で人の人生にあれこれコメントされたりしてもジーンは気にするでもない。
普通、「余計なお世話だ。あっち行け。」で終わってしまいそうなところだが。

それどころか、ミッキーの職場の仲間である彼らが何を知りたいか巧みに推察し、「離婚した、憂鬱だ。」とか、「自分たちはティーンエイジャーのゲームのいい標的にされている」などという、普通に考えたらちょっと屈辱的で言いづらいようなことまで恐れず話題にしている。公園で昼ゴハンしながらこんな話するヤツがいるか。
普通、「やめてくれよ。せっかくのメシがまずくなる。」の一言で、気まずくなって終わりでしょう。
「いい話を見つけたら、すぐ皆に知らせるんだ。」と、ホームレス仲間に対しても友好的。
さすが、ミッキ-の友人。

そして、もうひとつ驚かされることは、彼女の時間管理能力。
その直前のビニェット、 Lesson 36 "Balanced Life" では、ビニェットのはじめに荒木裕美が「フルタイムウォーカーの平均労働時間が44時間から47時間に急増した」と言ってびっくりしていると、

"That doesn't surprise me. Look at how many people at M&B don't take even a half-hour lunch break. They sit at their desks and gobble down a sandwich while they're still hard at work."
私はそのぐらいでは驚かないわ。M&Bの人たちなんか、30分の昼食休みも取らないで働いてるじゃないの。仕事しながらサンドイッチ食べてるぐらいが普通だわ。

って言ってるんです。

普通のM&Bの社員が事務所にこもって食事もするかしないかで必死こいて仕事している一方で、彼女といえば、昼休みはしっかり取り、いつのまにかに気のいい友人を作り、いっしょにゴハンを食べて打ち解けている。

自分の時間を大事にし、友人を大事にする。いかにもラテンらしいです。うーん、さすが。デキる人かこういうところが違う。すばらしい。
彼女は、自分の家庭での生活について、

Rodrigo brings works home and so do I. We may both sitting at the kitchen table, but we're looking at our laptops, not at each other.
ロドリゴも私も家に仕事持ち込んでいます。

なんて言っているけど、本当はどうなのかな。いちおう他のメンバーの手前、そう言っているだけのような気がいたします。
あるいは、家に仕事を持ち込むこともあるかもしれないけど、それは、単に Rodrigo と一緒にいる時間を作りたいから。
やっつけ仕事だけもって帰ることにして、さっさと家路を急いでいるのではないかと思います。
なにしろ、 Rodrigo は彼女が vignette に登場する都度、唐突もなくその名が口からおノロケアツアツカップルですし。

「M&Bにスシバーがあれば、もっと残業してやる。 (Lesson39)」とか言ってる荒木裕美とは、人生の豊かさに対する捉え方がまるで違います。
ミッキーは、M&Bの仲間が忘れかけている大事な何かを伝えようとして、「たまには公園でサンドイッチでもしましょうよ。」と誘ったのでしょうか。
Lee Seymour と荒木裕美は、すっかり馴染んでいる彼女を見て、きっと仰天したことでしょう。

"She keeps this office running smoothly. We'd flounder without her."
彼女が事務所の運営を円滑にしているのです。彼女がいなければ、皆こけてしまいますよ。- Lee Seymour (Lesson 1)

"She may have the makings of an account executive."
アカウント・エグゼクティブの素質があるんじゃないかと思う。- Ben Leonard (Lesson 7)

という職場での高い評価も、うなずける気がします。
(にしては、Ben は Mickey に新しいポジションを与えるわけでもない。そこが気になるのだが、それはまた今度。)


このビニェット、ハイスクール卒のホームレスとの会話という設定のためかビッグワードはほとんど出てこないが、使おうと思ってもなかなか出てこないような句動詞等が満載。

get by, take life day by day, hate crimes, get at, count, get whacked, rough sleeping, shift for oneself, on a steady basis, lift curfews, outreach, ...

それにしても、これだけまともなコミュニケーション能力、論理的思考力を持ち、社会事象に関心が高く、かつ仲間思いな彼が、クビになり、奥さんに離婚され、未だに仕事を見つけられず(このビニェットが放送されたのは2000年頃)、あえなくホームレスに甘んじているとは。
米国って、厳しいですね。

せっかく自動車関係の技術の現場にいたこともあるのだし。
彼は、NYなんかでホームレスしてないで、自身の気質とこれまでの経験を生かし、デトロイトあたりで職場環境関係の仕事にでも就くべきではないでしょうか?


ちなみに、ジーンさんの声は、ポール・ルーカスさん。後に Sandy Liu を務める人である。
このビニェットでは、ムリヤリ投げやりな話し方をしたりしていて、けっこう微笑ましい。


今日の Quote & Unquote。

"Time is the scarcest resource, and unless it is managed, nothing else can be managed."
(Peter Drucker, 1909- , U.S. management consultant, author)


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