ある弦楽四重奏の楽団が、演奏を終えた帰りに、喫茶店に寄った。

せかんどばよりにすとにとって、この演奏がこの楽団での始めての仕事だった。以前のせかんどばよりにすとが本番の直前に突然の病気で倒れてそのまま帰らぬ人となってしまい、彼はその代わりに急遽その楽団に助っ人として入ったのだ。

しばらくして、ウエイトレスがオーダーを取りに来た。
ちぇりすとはその前から何かがおかしいな、と思っていたが、そのときになにがおかしいのかやっと気がついて、ウエイトレスに訊ねた。

「あの、お水のコップがひとつ多いような気がするのですが・・・?」
「あら?おかしいですね。さっき皆さんが入ってきたときに、人数を確認したつもりだったのですが。」
ウエイトレスはそう言って、不思議そうな顔をしてコップをひとつもっていった。


「やっぱり、死んじまったアイツが一緒に来ていたのかな?僕らのことが心配で・・・」
ばよりにすとが言った。
「そうかもしれないね。きっと、僕らのことをすぐ側で見守っているのかもしれないよ。」
ちぇりすとが言った。
新しく入ったせかんどばよりにすとも、何となく黙り込んでしまった。


さらにしばらくして、びよりすとが言った。
「ところで、なんで彼女は僕のコップを持っていってしまったんだい?」


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びよらじょーく
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