A国の国王にはなかなか子宝に恵まれなかったが、女王は彼の晩年にようやく一人の王子を出産した。しかし、不幸なことに、王子はある暖かい春の日、側近がうたた寝をしている間に突然現れた大きな怪鳥によってさらわれてしまった。

王様の嘆きが如何ばかりだったかは言うまでもない。そして、王位の正当なる後継者でもある王子を捜すため、王直属の近衛兵をはじめとした多くの勇敢な騎士が、その捜索の旅にでることとなった。

そして、多くの騎士は、そのまま帰ってくることはなかった。

数年後、王家の証でもある手のひらの薔薇のアザをたよりに、一人の騎士がB国の村で一人のびよりすとに育てられている王子と思われる少年を発見した。彼の容姿は国王に似て端正で、心持ちのやさしく頭のよい少年であった。
しかし、少年はびよりすとに育てられたため、びよりすとになっていた。そのため、王様はその少年の帰国をすなおに喜べなかった。

するとさらにその数年後、さらわれたときに身につけていた腕輪を頼りに、もう一人の王子らしき人物が発見された。C国辺境の山奥で発見された彼はオオカミに育てられたオオカミ少年で、そのオオカミのねぐらに壊れていたが、件の王子の腕輪が落ちていたのだ。
彼はその王子を発見したと主張する一人の狩人によりA国の宮殿に連れてこられ、王様と会うこととなった。

王様は、彼に話しかけた。
「怪鳥にさらわれたときのことを覚えているかい?」
少年は歯をむきだして、こう答えた。
「がるるるる、がうがう。」

王様はしばし考えて、部屋でひとりでびよらを弾いていたびよりすと王子を大臣に呼びださせた。
そうして剣を抜いて自らの手でびよりすと王子をひと突きに殺してしまうと、剣を空に高く突きあげ、そのオオカミ王子の正当な後継を宣言した。


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