助けた亀にツレなくて<

浦島太郎はある日、子供たちが海岸でびよりすとをいじめているのを見つけた。
「君たち。かわいそうだから、逃がしてあげなさい。」
子供たちがいなくなると、びよりすとが言ってきた。
「ありがとうございます。あなたは命の恩人です。」


「まだ、龍宮城にはつかないのかい?」
「うーん...。」

「着きました!」
「『着きました!』って、ここ、さっきの海岸じゃないか。」


「まあ、いいよ。もうおそいし、僕は家に帰るよ。」
「そうですかぁ。すいません。代わりにこれをもっていってください。」
浦島は、びよらけーすを渡された。

海岸で別れを告げ、浦島は歩きはじめた。
ほどなくすると、子供たちの騒ぐ声が彼の背中から聞こえてきた。
ふりかえると、さっき自分が助けたびよりすとがまた子供たちにいじめられていた。

浦島は、軽いため息をつくと、びよらけーすを投げ捨てて家路についた。


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びよらじょーく
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