「...そうなんです、チャーチル警部。マーガレットさんの寝室から悲鳴が聞こえたとき、私はとっさに部屋の中にいたすべての人の姿を思わず確認しました。そして気がついたのです。『ここには全部で11人がいなくてはならない。なのに、何度数えても10人しかいない。』とです。」
「でも、それが誰だかはわからないと。」
「そうです。それが、とても不思議でした。」
「で、ジェファーソンさん。あなたは、続けてこうおっしゃりたいのですね。『この別荘にそのときいたのは12人。マーガレットさんを除けば11人だ。しかし、あなたが姿を確認できたのは10人。そのときパーティに出席していたうちの1人はアリバイがない。誰だかは分からないが、パーティに来ていた誰かがマーガレットさんの部屋に入り、彼女を窓から突き落とし、そして内側から鍵をかけてから、何食わぬ顔をして戻ってきたと。」
「いや、まあそういうわけでもないですが...。この別荘の立地を考えれば、それしかないのではないかと。私も長く執事としてこの家に仕えております。別荘のこともよく知っております。」
「そうですか...。」
警部はシガレットケースから愛用のタバコをとりだすと、ゆっくりとくゆらしはじめた。退屈で仕方がない、という雰囲気であった。
「ところで、ジェファーソンさん。あなたはたしか、びよらを弾かれるんでしたね。」
「ええ。ちょっとしたメンバーで四重奏をやっております。」
「ちょっと、そのメンバーをこの部屋に集めてもらえますかな?いや、その中に犯人がいるというわけではないんですけどね。まあ、ちょっとした実験をしたいと思いまして。」

「...警部、さすがですね。もうそこまで犯人像を絞り込んだんですか?僕には、まだ何も分かりませんよ。」
トムソンは警部に話しかけた。警部は、まったく退屈だ、という表情で吐き捨てるように言った。
「すぐに分かるさ。」

「チャーチルさん、おっしゃるとおり、メンバーを集めてまいりましたが。」
「そうですか。どうも。ご苦労様です。ああ、みなさんもどうもご足労ありがとうございます...。いいですか、ジェファーソンさん。ちょっと、お願いあるんですが。」
「はあ、何でしょうか?」
「なに、ちょっとしたことですよ。この部屋にあわせて今何人の人間がいるか、数えてもらえますか?」
「ええ。おやすい御用ですとも。まず、チャーチルさんとトムソンさん、それからばよりんのスコットさん、ラムスフェルドさん、ちぇりすとのホーマーさん...。この部屋にいるのは、全部で5人ですね。」
「え?」
「え?」

(その2につづく)


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