「イタタタタ。先生、参りましたよ。」
「おや、どうしました?」
「どうしたも何も、ホラ、ここ...。ミツバチに刺されました。もう、ズキズキして、痛いのなんのって。」
「どれどれ...。ああ、なるほど。指先に、ハチの針と毒袋が残ったままですな。それに、ひどく腫れている...。あなた。ミツバチは、非常におとなしいハチなんですよ。ちょっとやそっとのことでは、人間を刺してくるようなことはないんです。何かハチにひどいことでもしようとしたのでしょう。」
「え?あ、はぁ...。まあ、あんまり詳しく聞かないでください。それより、もう、痛くて痛くてたまりません。早くなんとかしてください。」
「『痛い痛い』って、あなた、ずいぶん簡単に言うけど。ミツバチは、人間を刺すと針と毒袋の部分が体から取れてしまい、そのまま死んでしまうのですよ。あなたは『痛い痛い』というぐらいでいいかもしれないけど、ミツバチにとっては『痛い痛い』なんていうどころの騒ぎではない。そういうこと、あなた、考えたことありますか?」
「え...?そんな、今はそんなことどうでもいいじゃないですか。とにかく、なんとかしてください。」
「ふうん。あなたのそういう態度、なんだか気に入らないな...。まあいいや。それで、とりあえず、どうして欲しいのです?」
「とりあえず、この痛みをなんとかしてください。それから針も抜いてください。」
「ああ、はいはい。分かりました。じゃ、とりあえず、指先に、痛み止めの注射をしましょう...。いよっ、いよっ、と。あ、なかなか難しいな。」
「あ、イタタタ、イタタタ。ちょ、ちょっと。先生、何してるんですか。針を触ったら痛いですよ。」
「注射器用の針は、なるべく使いたくないからね。せっかくあなたの指に針が刺さってるのだから、そこから注射しようと思うんだ。あれ、うまくいかないな、あれ、あれ。」


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