井戸の底
点滴が再開されました。
投薬開始時にまったく逆戻りです。徹底的にやっつけるらしい。
たいていのことは平気だけど、残る副作用は怖いです。
個体差もあるし。
どのぐらい薬を使うとどのぐらい僕にとって怖いのかが、
結局のところ誰にも正確には掴めていない。
ちょっと長い間腫瘍で入院していたある人のことを思い出します。
彼は、思うように治療が進まない、と、たまに仲間うちのMLにメールを送っていました。
僕がたまに思い出して彼にメールを送ってみても、
返事が来ることなど滅多にありませんでした。
それがどうしてなのか、そのときの僕はよく考えませんでした。
入院生活が続くと、自分は今どこか水の冷たい深い井戸の奥底にいて、
こうして昔から息を潜めてじっとしていたのではないか、と感じることがあります。
たまに、誰かが桶を降ろしてきて、バシャ、バシャと水を掻きまわしていきます。
それは外から見たら微妙な変化かもしれないけれど、
僕にとってはとても大きな変化だったりすることもあります。
気になることもあれば、気にならないこともあります。
でも、それは外からは分からないことです。
分かってほしいと思う種類のことでもないし、
何か特別に気を使ってほしいと思うものでもないです。
01/05/31
ヤブクランケにメールする
「ぱさど」トップへ
こねこねのさいとトップへ