星に願いを その1
おとといぐらいだったか、たくさんの短冊を持って、主任の看護婦さんが僕のベッドにやってきた。
フロア受付の横に七夕の飾りをするから好きな短冊に何か願い事を書いて笹につけましょう、ということだった。恒例らしい。
短冊は何枚でもいいと言われたけれども、僕は一枚だけ、薄い緑色の短冊を選んだ。
ベッドのカーテンの色と似ている、というのがその理由だった。
その短冊にはまだ何も書いてないのだが、書くことはもう決まっている。
「病気完快」だ。
ただ、どういう字でどう書くかとか、そういうことを決めていなかった。
それで、さて、みんなはどういう風に何を書いているのだろうと、昨日の昼ぐらいに、近くに寄ったついでにその笹につけられている短冊を何枚か見てみた。
そうしたら、
「引越しが無事に済んでほしい」
「世界平和」
「25メートル泳げるようになりたい」
とか、そんなのばっかりだった。
(みんな、自分の手元の問題をどう考えているんだ?!)
僕は、かなりショックを受けた。
01/07/02
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