分析タイプへの対応

分析タイプへの対応


今日の英語ビジネス・ワールドのテーマは、

"Dealing with an analythical person"

日本語では、

「分析タイプへの対応」

だった。

分析タイプにどう対応するのか・・・
さすが英語ビジネス・ワールド。テーマが違う。
そう思って、僕はわくわくした。


登場キャラにだいぶ慣れてきた。

バイリンガル女性は、前田恵里子さん、先生は田中宏昌さんだ。
ふたりともあいかわらずいい味を出していたし、前田さんの薄い水色の絹っぽいブラウスは素敵だった。

洗練された雰囲気の、明るいスタジオだ。
品のいいピアノ音楽が流れて、品のよさそうに2人がセットの所定の位置に歩いていく。
前田さんの前には、あらかじめ開かれたノートパソコンなんか置かれている。


ゴトー機械は新製品の開発のために、アメリカのソフトハウスから製品を買うべく交渉している。

前回までは、そのアメリカのソフトハウスの営業マンであるSawyerさんに対し、日本人のオジサンAkiyamaさんと、その部下と思しき女性Yamamotoさんが協力して丁々発止の交渉を展開していた。Saywerさんはかなり手強かったが、少なくとも3週にわたり放映されたそのシリーズの中で、ようやく先週契約の方向に漕ぎついた。

そして、今回、Sawyerさんがそのソフトハウスの技術者のBakerさんを招き、実際に技術的な話にも入っていく、というのがスキットのストーリーだった。

今回、ゴトー機械側はAkiyamaさんだけ。ソフトハウスからはSawyerさん、Bakerさんが来ている。有能な部下のYamamotoさんは同席していない。
番組の流れから言って、新しく登場したこのBakerさんが、「分析タイプ」なのだろう。うん。みるからに分析的な雰囲気の、なかなかてこずりそうな相手だ。

Akiyamaさんは、前回のSawyerさんとの交渉時に感情的になってしまい、気まずくなったところをYamamotoさんに助けてもらった、ということもあった。
僕は、このラインナップを見て心配した。Akiyamaさん、今回は、相手はSawyerさんだけではないぞ。分析タイプのBakerさんもいる。本当に、ひとりで大丈夫なのか?Yamamotoさんの助けは、いらないのか?!


スキットの構成は、
・最初の好調なシーン(名前忘れた)
・Trouble Spot(交渉時に問題が生じる)
・Overcoming Difficulty(なんとか収拾していく)
という形になっている。


まず、最初の好調なシーンになった。
Akiyamaさんは作業着を着ていて、Sawyerさんに紹介されたBakerさんと挨拶する。
Bakerさんに、これまでのプロジェクトの経緯を簡潔に説明し、これから自分たちがどうしたいのか説明した。
Bakerさんは満足そうだった。


まず、そのことが、田中先生に誉められた。
「新しく入ってきた人に、これまでのプロジェクトの経過をきちんと説明することで、安心感を与えました。分析タイプには、自分たちの当然、と思っていることでもきちんと背景を含めて説明することが必要です。」
と、先生は述べた。

経緯について時系列的に述べたことも、田中先生がにこやかに指摘した。
In the first year,
Last year,
と、Akiyamaさんが話を進めていったことがよかったようだ。

そして、現状での課題について簡潔にしてきしたことも田中先生の好評をさそった。
Now we're looking for new ways to approach the problems.
なんていうのが、よい、とのことだった。

好調だ。やるじゃないか。Akiyamaさん。ネイティブビジネスマンに対して、ひとりでがんばっている。
いいぞ。Akiyamaさん。


ところが、このスキットは、ここで

"Trouble Spot"

に入るのだ。これから、Akiyamaさんは苦境に落ちることになっている。

いったい、どういう苦境に落ちるのだ?
僕はドキドキしながらスキットに集中した。


「今年中に開発したい。」
というAkiyamaさんに対し、Bakerさんは
「それは、容易ではない。たいへんなことですよ。」
という趣旨のことを言った。

すると、Akiyamaさんは迂闊にも、
「心配要りません。日本人技術者は、大変効率的に働きますから。」
と答えてしまったのだ。

これが、まずかった。
Bakerさんに、こりゃだめだ、という様子で、

「そんなこと、関係ないよ。」

と、そっけない対応をされてしまったのだ。
Akiyamaさんは「ウッ!」という表情をした。オチの音楽が流れた。


"Trouble Spot"

である。

Akiyamaさんの言い方がまずかったのだ。
「情報をひとつひとつ吟味する分析タイプの人に対し、実現性の根拠の感じられない発言をしてしまいました。」
そういう趣旨のことを、田中先生が言った。
言われてみれば、その通りだ。

「とにかくウチがいちばんいいんだ。ウチにしろ。」
とにかくそれだけくり返して、何日間で、どこに行って、何を見て、いくらだとも言わないウチからしつこく僕の腕をひっぱっていこうとしたナイロビのサファリツアー業者のことを、僕は思い出した。

「感覚的な説明では相手にされません。目標をどのように達成するのか、具体的に説明してくことが大事です。」
田中先生がそう言った。

これから、

"Overcoming Difficulty"である。


ここで、Akiyamaさんは挽回した。

Akiyamaさんは、過去の事例を基に、製品検査に要する日数を具体的に割り出して示した。
Sawyerさんから契約内容の変更も含めて再考慮してみよう、という提案も出て、それにあわせる形でAkiyamaさんも詳細な話をはじめ、リズム感を取り戻した。具体的な数字、事実に基づいた話を聞けて、Bakerさんも満足そうな表情をした。

どうやら無事に済んだようだ。AkiyamaさんとBakerさんが握手をするシーンが出て、スキットは終わった。


やったぞ。Akiyamaさん。さすが、日本人ビジネスマン。さすが、ゴトー機械。

前田さんが言った。
「分析の材料をしっかり示したことが、よかったですね。」


番組の最後はいつもどおり、USA のビジネスシーンにスポットを当てるコーナーだ。
案内役のトレーシー・ロバーツ婦人は、たしか前々回も出て来たよな。前回は、どうだったっけ?

今回は、企業向けコンセルジュ、という趣の変わったビジネスが成長をはじめている、という話題だった。
ひらたく言えば、企業向けの便利屋、というところだ。仕事に追われて自分のために時間を割けないビジネスマンのために、彼らの私用等を代りにこなす、というものだった。

「時は金なりという言葉を思い出しました。」
という、トレーシー婦人のコメントがあり、スタジオに戻った。

「たしかに、例えば時給に換算すればすごい額を稼いでいるような人が昼休みをちょっとした私用に時間を取られてしまう、となれば企業にとってもその人にとってもデメリットが多いですね。」
みたいなことを田中先生が言って、番組は終わった。

ちなみに、このコーナーでは、先週はビジネスマン向けのプライベートキャリアコンサルタントの話、その前はNYのイタリア料理店オーナーの話を紹介していた。
どれも、おもしろい話題だった。


これだけの内容を、ポンポンとリズムよく展開してくれるのである。コマーシャルも間に入らない。
この番組は、たった20分で終わってしまう。あっという間だ。
はっきり言って、英語でやってくれなくても十分おもしろい。

なのに、この番組はこんなにおもしろい内容を、英語の勉強にもなるように仕立てあげ、20分という短期間にそのエッセンスを凝縮して一気に放送してくれるのだ。

さすがNHK教育テレビ。スポンサーの意向を受けたら、なかなかこうはいかない。

01/05/30


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