全仏オープンセミファイナル クエルテン-フェレーロ

全仏オープンセミファイナル クエルテン-フェレーロ


昨日の昼のNHK教育テレビの中村勘九郎「藤娘」は見てみると僕にとってはイマイチで、何かおもしろいもの他にやっていないかな、とTV番組表をチェックしていたら、全仏オープンを12チャンネルでやっている、とあったのでそれを見ることにした。

放送は主に男子シングルス準決勝のクエルテンとフェレーロの一戦であったが、これが実におもしろかった。特に第1セット。

僕はあんまり詳しいほうではないのでなんとも言えないが、共にクレーコートを苦手にしないプレースタイルの両者が戦っている様は、まさに精神的な消耗戦だった。ボールのスピードが殺されて沈んでいくやわらかいレッドクレーコートでの試合はただでさえ体力的にも技術的にもエラくハードなのに、その上彼らは第1セットだけでも49分の間、技術、運動量以外の別の面でもおそろしくタフな消耗戦を展開していた。

この番組だけは、マメに宣伝が入ってくれて助かったと思った。
本物のテニスの試合なら2ゲームごとに1分の休憩が入るが、あんな試合ぶっとおしで見せられていたら、はっきり言って見ているこっちの精神力が持たない。一般視聴者は彼らのようにメンタルにタフにはできていないのだ。おバカな宣伝でも入ってくれないと、本当に気が持たない。

その第1セットは2つのゲームをブレークして逆転の末クエルテンが奪い、結局試合は3-0でクエルテンが勝利したのだが。
試合時間2時間10分。放送されたのはごく一部だったので他のことは分からないが、あんな調子でずっと試合をやっていたのだとしたら、アイツらホントマトモな神経とは言えない。
しかも、彼らは他の試合を勝ち上がってこの試合にのぞんでいるのだ。
クエルテンは前の試合では、カフェルニコフと対戦して3,500mに相当する距離を試合中に走った、という紹介もあった。

「クレーコートの試合、というのはチェスのようなものなんだ。すべてに次の一手というのがあって、それを正しくやっていかないとダメになってしまうんだ。」
と、カフェルニコフが言っていた、とアナウンサーだったかな?が言っていたが。

クレーコートでのトップレベルの試合、というのは久しぶりに見たのだが。
まあ恐ろしいことをしているヤツらだ、と僕は本当に感心した。


僕がこれまでにテレビで見たテニスの試合の中で一番印象に残っているのは、初めてサンプラスとカフェルニコフが対戦した全豪オープン。たしか、3回戦だったかな?WOWOWでの放送だった。

得意のハードコートで順調に勝ち進むであろう、と誰もに思われていた王者サンプラスが、大会シードで緒戦に登場してきたと思ったら、無名の新人カフェルニコフといきなり全セットフルゲーム。
放送は最終セットからだけだったのだけど、その最終セットは延々と延長していった。
新鋭カフェルニコフ、王者サンプラス、両者ともすさまじく、まさに死闘だった。

「今ここでコイツを必ず叩いておかなくてはならない。」
という必死の形相の王者サンプラスもすごかったけど、
「当然コイツを倒す。」
という新鋭カフェルニコフの気迫もすごかった。

僕がテニスのメンタルな恐ろしさをはじめて知った試合だった。
今でも、思い出すだけでゾクっとしてくる。

01/06/10


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