レッツ・ゴー・トゥー・シティー!

レッツ・ゴー・トゥー・シティー!


人間とは、そういう生き物である。

唱歌「まちぼうけ」を引き合いにだすまでもなく。
パブロフの犬の実験を引き合いにだすまでもなく。

熱心なこのHPの読者は想像したかもしれないが。
今日の昼間も。
昨日と同じ時間に。

NHK教育テレビをつけてしまった。


昨日とやはり同じ時間、同じタイミングで、イソジンを持ってうがいに行ってしまった。
ただし、今日は自分の昼ゴハンを持って帰ることができた。

昼ゴハンをテーブルにおいて、僕はテレビをつけた。
よく分からないけれど、とりあえずつけてみよう、という程度の気分であった。
ゴハンがもうあったので、あまり自分を持て余していなかったのかもしれない。


テレビをつけてみると、横浜にあるドコソコというところで、墨彩画の個展が開かれる、というニュースを紹介していた。
しばらく「教育テレビの番組にしては変わっているなぁ。」と思ってみていたが、途中で気がついた。
これはNHK総合であった。

昨日、「名曲アルバム」を見終わった後、なんとなくチャンネルを総合に切り替えてみて、それっきりだったのだ。そのときすぐにテレビの電源を落としてしまったので、印象に残らなかったのだろう。

「いまは、教育テレビだ。」
墨彩画の個展の話もおもしろかった。それが全部終わるのを待ってから、僕はチャンネルを切り替えた。


川平滋英が出ていた。

若い男と女のタレントが、他に2人いた。2人とも、見たような顔だった。たぶん2人とも有名だと思う。
全体で3人。川平滋英の後ろにスクリーンがあって、3人は大きなバウムクーヘンのごく一部を切り出したものを外側から囲むように座って、こっちを向いている。

番組の終わりのテーマ、と思しき音楽が流れだし、歌が聞こえてきた。

「レッツ・ゴー・トゥー・シティー!」

みたいなことを叫んで、川平滋英がこぶしをふりあげた。テロップが流れ出した。川平滋英の名前は出たが、あとの2人は、やっぱり聞いたことはあるが僕にとってそれほど有名でない名前だった。歌は所ジョージだった。作詞も聞いたことのあるような人だった。

アングルが正面から、斜め上横からのスタジオの裏方もちらちらと見えるような角度に変わった。さっきの若い男タレントが、妙な踊りを踊りながらこちら側にあるカメラに向かって来た。


「まちへとびだそう」

とタイトルがでて、番組は終わった。

http://www.nhk.or.jp/sch

と、URLも小さく表示された。


またしても、テレビをつけたと思ったら番組が終わってしまった。
昨日と同じパターンである。

URLの"sch"とあったことから推察するに、どうやら学校むけの番組だったらしい。
キャストから考えると、中、高校生むけ、というところか。

なんか、カメラのむこうで、ムリヤリに盛りあがらんとしていた、という印象だった。

正確には、

「レッツ・ゴー・トゥー・シティー!」

ではなかったのだが、川平滋英の発言も、とにかく少なくともいまどきの東京や横浜の街中ではとても聞くことのできない種類のものだった。

川平滋英のフリツケとセリフもバタくさかったが、男タレントの踊りも妙だった。
こないだの「スペイン語会話」でアフロペルーダンスを踊っていた5才ぐらいの男の子とはえらい違いだ。
「ハングル会話」のイボンウォンともまた違った趣がある。
彼の踊りは、言ってみれば、

「ムリヤリ狂っている」

というところだった。でも、そこがかえってよかった。
所ジョージの歌も、よく分からなかった。

こんな素材を自信満々で前面に押し出してくるテレビ局なんて、ない・・・。

ムリに誉めているのではない。本当に、そう思ったのだ。いまどき、こんな番組、他の局では決して見ることができない。
絶対ハズす、これを見せれば必ず相手はシラける、という確信のもとに作っているのかも知れない。しかも、この放送局は、そういう番組作りが許される数少ない放送局のひとつなのだ。

いいものを見せてもらった、と思った。
さすがNHK教育テレビ。スーパー娯楽チャンネル。

・・・そう思っていると、次の番組がすぐに始まった。


「みんな生きている」

というタイトルだった。まだいろいろなパターンが考えられる。タイトルだけを見せられても、ネライが見えない。
とりあえず、見てみた。

画面は次々に切り替わっていった。
その画面は主に田舎で子供が遊ぶ風景であった。心象っぽく見せるためか、粒子の粗い絵のように映像は加工されていた。
どこかの水辺に近い小山を走って登る子供や、ザリガニをとって遊ぶ子供の映像が次々に出た。

そして、イルカが歌った。
イルカファンの読者がいたらもうしわけないが、これがひどい歌だった。僕は耳ざわりにならないようにどんどんボリュームを落としていった。ボリュームの表示が「4」になってもまだうるさいな、と思っていたが、「3」に落としてみたら、今度はイヤホンからは何も聞こえなくなってしまった。

心象風景は終わり、主役の少年が出てきた。なんだか、山奥で枯れ枝なんかを集めている。
「小学校5年生のナントカ君は、今年、長野県の奥のドコソコで夏休みをすごすことになりました。」
ナレーションの声がした。

都会の子供が田舎暮らしを体験するとか、そういうところかな?よくある話だ。
僕はこの番組に興味がなくなった。僕はテレビの電源を切った。


僕は昼ゴハンを食べることにした。メインは鳥のスープ。これは、骨つきの足が2本も入っている。中身をいちどくりぬいてからバジリコなんかちょっと入れたトマトが1個、つけもの、ごはん。調味料は、「減塩しょうゆ」と、あの「マヨネーズセブン」だ。

今朝は、さいきんゴハンが多くて食べきれない、と投薬のときに言おうと思っていたら、先生のほうから、
「こねさん、今日からゴハン減らしました。」
と先に言われてしまった。
朝は分からなかったが、昼のメニューも、ちょっと軽目になった気がする。

それでも、もう一品ある昼のデザートのビスケットは、きっと昼には食べきれないだろうな、と思った。

まあ、いいや。とりあえず、食べてしまえ。

僕は、NHK教育テレビに感謝した。もしも昨日のような調子で連続パンチを食わされていたら、今日も落ち着いて昼ゴハンを食べるどころではなかったはずだ。

ありがとうNHK教育テレビ。スーパー娯楽チャンネル。

01/05/29


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