ピッチャー鹿取
今日のフランス語会話は復習編ということで、全員抜け番という感じであった。
復習のときに気がついたのだが。
「展望ラウンジでお買物」で書いた遙ちゃんがドミニクにチョコレートをあげるシチュエーションは、ちょっと事情が違った。
遙ちゃんの導入のセリフは、
「おみやげがあるから、ドミニクにも一個あげるわ。」
だった。
ドミニクは、
「大きいのがいい。」
と言ったのではなくて、
「この箱、小さいな。」
と、ボソっと言っただけだったのだ。
で、遙ちゃんが、
「そう。だったら、これにする?」
と、彼に大きな箱を薦めたのだ。
小さい箱の中身とドミニクとの関連性は特別なかったようだ。
ということは、せっかくチョコを持っていたのにベアトリスに渡さなかったということにも、特別な意味合いはなかったのであろう。
「路上」よばわりも、考えてみればあまりにもおかしすぎる。
彼女に関しては、単に状況把握に鈍い人というだけなのではないかという気がしてきた。
今月の歌はフランス国家のレゲエバージョン。
あいかわらずひどかった。これが今月いっぱい続くとは。
どういう具合なのかというと、ドミニクが座ってブツブツ言って、パトリスが後ろでマラカスを振りながら恍惚の表情を浮かべ、裏声でバックコーラスをしている。
堅実タイプのドミニクにはムリのある構図だし、パトリスはこんなことまでやらされているのか、という感じ。
ドミニクが今月の歌で要求されていることは、ほとんどアントニオ・コンテに90年代初頭のセリエAサンプドリアにおけるルート・フリットの活躍を期待するようなものだ。
歌手ならなんでもいい、というものでもないだろう。
パトリスも80年代中盤の「ピッチャー鹿取」というところだ。なんでもかんでも顔を出しすぎだろう。
文化コーナーは、パトリスのインタビュー。ベトナム人映画監督の Tran Auh Yung だった。
1993年、「青いパパイヤの季節」でカンヌ新人賞受賞(だったかな?)
最新作は、「夏至」。ハノイの街での3人姉妹の邂逅が話のきっかけだ。
「3人の姉妹はそれぞれの人生の段階にいます。人生のシンプルな物語を通して人生の計り知れない大きさを描こうと狙いました。」
とか、そんな監督のコメントだった。
彼は、12才でベトナムの戦火を逃れフランスに移住したそうだ。インタビューのあとで大木教授が「フランス語はほぼ完璧」と言っていたが、聡明そうな人物だった。
「映画の中でいろんな問題が起こっていきますが、映画の背景にはベトナムの儒教的な文化価値観、調和を重んじる心あります。それゆえに、問題が起こる一方で観客は穏やかな気持ちになっていけるのです。」
彼がもうひとつ描きたかったのはハノイの街のすばらしさ、くったくのなさ、おだやかなリズムといったものだったそうで、そういうものを感じさせるシーンも、映画の紹介の中にいくつも出て来た。
3人姉妹が鳥を剥いていくシーン、果物を包丁で切るシーン、暗い部屋で何かを話すシーン。
細かく覚えていないのだが、感覚的に落ち着いた気分になれる映像が多くて、おもしろそうだった。
もともと今年に入ってから僕の中ではアジア映画ブームだったのだが。
おとといあたりから、アジアそのものにも「行って見て来たい」と思うぐらいのモチベーションを持ちつつある。
おとといの「歴史から見る世界」は、「東南アジアの巨大建造物」とかそういうテーマだった。
そのときに出て来たアンコールワット、アンコールトムの遺跡群の話はそれ自体でもおもしろかったのだが、学者さんの、
「このような巨大な街を作ることが、経済的動機だけでは物流が発達しなかった古代社会において、農民、商人双方に対して国家統合のシンボル、物流のハブ拠点を提供するという意味で重要であったのではないか。」
という話の切り口がおもしろかった。
内陸の巨大遺跡が出来るのには乾季にはまったく仕事にならない農民の遊休労働力が活用できたという背後事情が大きい、という話もおもしろかった。
李朝大越王国の紅河デルタに続く500kmもの大堤防もよかったし、アンコールワットすぐのところのトンレサップ湖もよかった。トンレサップ湖での乾季の入りに行われる漁業の様子もよかった。住民の貴重なタンパク源であるとられた魚がどう料理されていくのかなんていうことにも、とても興味を持った。
ちょっと、アジアが見えてきた気がしてきたのだ。
これまで、アジア、特に東南アジアというのは、僕の中では混沌とした存在だった。
国境もよく分からなかったし、言語分布もよく分からなかった。人の違いも見えてこなかった。
でも、もうちょっとで何か分かってきそうな気がする。
「ワールド・アトラス」でも買って手元に置いておきたいところだ。
「詳説世界史」が寮の部屋に置きっぱなしはなずなんだけど、部屋のどこにあるかまではちょっと分からない。
あと、いつも思うのだが。
番組の終わったあとの出てくる、NHKフランス語会話のテキストの表紙。
7月号は、5枚の井川遙の写真と、その背景の青空の中の、井川遙の無数の小さい影で占められている。
「なんで、そこまで井川遙なの?!」
世間では大人気らしいからなぁ。
01/07/12
管理人にメールする
「テレビの感想」トップへ
こねこねのさいとトップへ