くらし発見
「しらべてサイエンス」の余韻にゆっくりひたっている間もなく、「くらし発見」がはじまった。
知らない番組だが、とりあえず、何か面白そうなことをしてくれそうな気がした。
このまま、もうちょっと見てみようと僕は思った。
コマーシャルがない、ということを、僕は人生において、はじめて不都合に感じた。
「おいおい。すこし、休ませてくれ。」
という感じだった。
番組頭の映像から番組の趣旨が見えてきたので、ラクな気持ちで見れた。ゴミ処理の話のようだった。
「ごみのゆくえ」というタイトルだった。
東京都渋谷区の映像が流れて、案内役のおねえさんが出てきた。小学校の先生にいそうな、化粧気のない人だ。ちょっと松井直美に似ていない、と、言えないこともない(かもしれない)。
横須賀市の、どこかのゴミ焼却場が紹介された。ゴミ焼却は、
「もえやすいゴミともえにくいゴミを混ぜるのがコツ」
なのだそうだ。知らなかった。この処理上では、1日約400トンのゴミが焼却されるらしい。
僕は、職場で日常的に見ていたアルミニウム塊にすると400トンとはどのぐらいであろうか、とイメージしてみた。
こういう数字をイメージできるようになったというのは、僕の職場で得たものひとつだ。
今の僕にとって400トンは別に巨大ではなく、ありふれた数字だ。
「ゴミは、燃やすとどうなってしまうのでしょうか?なくなってしまうのでしょうか?」
案内役のおねえさんが視聴者に問いかける。
当然、全部は無くならず灰が残る、ということだった。
処理上の人によると、「およそ13%、50トンが一日に残る。」ということだった。
「灰は残っちゃうんですね。どうなるんですか?」と彼女が問うと、
「不燃ゴミと一緒に埋め立てます。」という答えが返ってきた。
その埋める場所が問題、ということだった。横須賀市では、市の用意していた埋め立て場が3年前にもういっぱいになってしまい、別の場所をなんとかしている、とのことだった。
別の処理上の人が出てきて、
「民間で引き取ってもらっています。」と言っていた。
そういった処理費用が年間15億円かかる、ということだった。
そういう額のお金はピンとこない。銀行員にでもなれば分かるようになるのかな?
どうやってこのゴミを減らすか、ということに横須賀市は頭を悩ませ、「ごみダイエット推進員」という人たちを、あちこちで認定(かな?)するようにしてきたそうだ。
その一人、「ゴトウエイジ」さんが紹介されて。
年齢は、いくつなんだろう?もう引退したっぽい感じだったな。
彼のゴミ減らしの工夫が紹介された。
彼の家には、白のバケツが置いてある。開けてみると、そこには腐葉土のようなものが入っている。
彼の家では、生ゴミは出さない。全部このバケツに入れるそうである。
そうすると、このバケツの中には微生物がいて、その微生物が生ゴミを分解して、肥料にしてしまう、というのである。
彼の家の庭には、その肥料で育てた、というきれいなつづじが咲いていた。
彼の家の近所の公園にも、彼は自分のバケツでできた肥料を持っていっている。
ゴトウさんだけではない。ゴトウさんの住む町には、30人の「ごみダイエット推進員」がいて、彼らが自分たちの作った肥料を公園の花壇にどんどん交代で持ちよるので、ここの花壇は生き生きしている、というのである。その公園に肥料を持って行くゴトウさんの映像も紹介されていた。
こういう「ごみダイエット推進員」が、横須賀市全体で600人(400人だったかな?)いるらしい。
そしてなんと、ゴトウさんは15年前からこういう取り組みをしてきた、というのである。
ゴトウさんの家のゴミ分別の様子が紹介された。彼の家では、市で指定された4つの分類以外に、リサイクルできる紙を「資源ゴミ」として、さらに分別しているそうである。
奥さんが紹介された。ラップやら、プラスチックのトレイやらを洗っているシーンが紹介された。
「キレイにしてからでないと、リサイクルに支障がある。」
ということらしいのだ。
「面倒じゃないですか?」と聞かれると、
「お父さんがうるさいから。」と彼女は笑った。「うるさい、うるさい。」と、少ない出番の中で彼女は少なくとも3回言った。よほどうるさいのだろう。
でも、その一方で最後には、「慣れればなんでもない。」なんてことも言っていた。
あんなセリフを言わせちゃえるなんて、テレビって、すごいな。
横須賀市の処理場に場面が戻って、分別のお願いを処理場の人がしていた。
「出すときには大変でしょうけど、分けてもらえると、非常に助かります。」
と、彼は、ホントに非常に助かりそうに言っていた。処理の手間がぜんぜん違うらしい。
処理場内の別の場所に映像が移ったのだが、これがすごかった。
超大型のものはなかったが、ピカピカの家具が並んでいるのである。
案内役のおねえさんが、
「うわ!すごいですね!これは、なんですか?」
と、聞く。
すると、処理場の職員さんが力強く答えた。
「これらはですね。もとは、粗大ゴミだったんです。」
力強そうには言わなかったが、その実、あれは絶対に力強かった。処理場の職員さんの、これが見せたかったんだ、という雰囲気が、NHK教育テレビからも伝わってきた。
粗大ゴミとして出されてきた家具は、この処理場の家具工房にいる職人さんによって、修理されたり、ペイントされなおされたりして、ピカピカに生まれ変わるのだ。僕も欲しくなるようなものがいっぱいあった。
こうして再生された家具は、年に数回、安価に市民に提供されるそうだ。
うーん。すごいぞ横須賀市。他の自治体でもやってるのかな?こういうの?
あんなのが安かったら、僕も欲しいぞ、と思った。
ゴトウさんのマネはおいそれとはできたものではないだろうが、家具の話はおもしろかった。
ゴミ処理工場の様子はいろいろとおもしろかったし、つつじの映像はきれいだったし、いろいろおもしろい話も聞けた。
さすがNHK教育テレビ。スーパー娯楽チャンネル。
01/05/28
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