ロマンティックなりフランス
今日のフランス語会話でいちばんおもしろかったのは、文化コーナーでの、フランスの人気漫画家エンキ・ビラルのインタビューだった。
「フランスではマンガは(「彼のマンガは」だったかな?)『第9の芸術』と呼ばれています。」
なんて話からはじまって、パトリスがひととおり彼のプロフィールを遙ちゃんのほうをむいてフランス語で話した。
ベオグラード出身で、超人気漫画家で、こんな作品があって、と、そんな具合でちょっと長くてややこしい話だ。
遙ちゃんは、困ったような顔をして聞いていた。
インタビューになった。エンキ・ビラルはいい男だった。パトリスはおちついたトーンでシメた格好をしている。2人ともシックだ。当然派とリスのことだから、作品のイメージ、相手のイメージを持って、どういうインタビューにしたいか考えて選択したのだろう。こいつはTPOに敏感な芸術家だ。
「前から大ファンだったあなたにお話を聞くことができて、光栄です。」
パトリスがそう言って、インタビューははじまった。
彼のインタビューは興味深いものだった。
まず、彼がベオグラードからフランスに来て、フランス語を覚えたというところから話ははじまった。
「フランスに来て、フランス語を覚えて、フランス語に魅せられた。そして、自分の持つ漫画への情熱、フランスの漫画を読んだこと、そういうことが大きかった。」
そういう話からはじまると、パトリスが、彼の作風と東欧の旧独裁社会での体験との関連、登場人物が傷を負っていたり包帯を巻いていたりすることが多いのは何故なのか、自分の作品がいわゆる「SF」扱いをされてしまうことをどう思うか、なんていう質問を次々にしていたった。
彼の答えというのが、
確かに舞台のイメージとしては東欧の旧体制に似ているところはある。でも、真のテーマはもっと一般的なもの、個人とか、独裁とか、権力の乱用とか、そういうところにある。
傷を負っていたり包帯を巻いていたりする登場人物が僕が子どものころに見たベオグラードの人たちのイメージなのかと聞かれるとなんとも言えない。厳しい質問だね。でも、バルカンの人たちの厳しい顔には魅せられていた。フランスに来たとき、フランスの人たちの顔はみんなとてもやさしそうに見えたよ。みんながみんなやさしそうに見えた。
過去の傷が見えるような人が好きだ。そういうものが見えてくると、その人の魅力が見えてくる気がする。
とか、そんな感じだった。他にも、芸術家というのは常に幻想を抱いているものだ。常に芸術家はそれを利用し、苦しみ、としているんだみたいなことも言っていた。
SFという言葉でひろくくくられて扱われることはあまり好ましくないね、というトーンだった。
現実に基づいた近未来としてとらえて欲しい、と彼は言っていたが、これについては正直よく分からなかった。
「SF」という言葉の定義の問題になってしまうのだろうな。
彼の漫画は日本でも読めるらしい。まだ読んだことがないから内容については知らないし、絵柄についてどうこうもうまく言えないが、最初に彼の絵を見たときから、インタビューのシーンを見ている間、最後にもう一度彼の漫画の日本語版が紹介されている間、僕はずっと週刊モーニングに不定期連載されている「プラネテス」にちょっとイメージが似ている、と思った。
「プラネテス」というのはSFマンガで、地球周回軌道上にある人工衛星の残骸なんかを拾う仕事をしている宇宙に魅せられた人物が主人公のマンガなのだが、なんだか登場人物がみんなもう一歩なのだ。ハッピーエンドの気配はあまりしてこない。でも、彼らは彼らで自分たちの継続した時間の中で生きている。そんなトーンのマンガだ。入院してからは一度も読んでないが、とにかく、どことなく似ている気がした。どこがどうとまではまだうまく言えない。登場人物の目とか、傷つき具合とか、そんなものかな?
とにかく、作者にも作品にも興味を持った。
何らかの方法で入手して、読むぞ。映画館はいまのところダメだが、マンガならオッケーだ。
番組自体はアクアリウムとしての静寂をようやく取り戻した感じだったが、なんだか先々週にかき回されてしまったので、これからゆっくり水が落ち着くのを待つところというような印象だったな。
でも、もうちょっと待てば、またそれなりのアクアリウムが再構築されることだろう。
スキットドラマのロマンティックさは楽しめた。
エミとカリーヌが2人でお城の側の湖畔の小道を
「なんてロマンティックなの!」
なんて言いながら歩いているのだが、そこに、前回スキットに登場して青いひし形がちりばめられた男の子が偶然バッタリ登場。馬のむこうに発見して、エミの胸にピンクのハートが浮かんだ彼だ。
エミが前回の男の子を覚えていたのはともかく、男の子はどうして、
「ああ、君はあのときの・・・」
なんて、すぐひょいってエミのことを覚えてられるんだ?君、あのとき馬の後ろであさっての方見てただろうに。
「エミって、言うのかい。きれいな名前だね。」
なんてさ。
ああ。ロマンティックだなぁ。フランス。
ここで、おたよりの紹介です。
「NHKマニアの友人」さんから。
ドミニクとエリックとの小スキットに出ている、フランスを旅行中のどうやら日本人(?)という設定の髪の黒いたぶんハーフかなと思われる女性がスタジオに出て来て欲しいです。
彼女、可愛いなぁ〜と思ってます。
男に媚びない感じのタイプで好きです。
01/06/14
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