トンネル効果
エミとカリーヌはあいかわらず旅行中。
今日は、とある片田舎の城塞都市に来て、お土産屋さんに入っていった。
もう夜になろうかというところで、外は暗くなりかけていた。人かげもまばらだった。
黄色い店の照明が、店のそとをぼんやりと照らしていた。
2人はお土産屋さんでいろいろと買物をしている。
そのうち、エミがトイレに行きたい、と言いだした。
「すいません。トイレはありますか?」
カリーヌがそう尋ねると、店のおばちゃんはトイレは店にはない、外にでて左だ、と答えた。
エミは買物がまだ済んでいないカリーヌの手をひっぱって、店の外に出ていった。
店の外に出て左に歩いていく。石畳の道はちょっと上り坂になっている。店の外は夕方で、人もたくさん歩いていた。
上り坂を歩きはじめたところで、エミの視線はさっと坂の上のほうに合った。
そして、言った。
「あ、リュックだわ!」
自分から引っぱっていたカリーヌの手についてはどうしたか。
彼女は坂の上のほうに駆けていった。
トイレぐらいひとりで行け、とかいう話はともかくとして。
「リュック」
というのは、おそらくあのひし形美青年のことだろうと思うが。
どうしてこんなところに?あまりにも偶然すぎる?
今回は、その謎に迫ろうと思う。
僕は、2つのシーンの比較について注目したい。
お土産屋さんにエミとカリーヌが入っていく、前と後である。
前のシーンは、日も暮れてしばらく経ったぐらい、後のシーンは、まだ日が暮れてすぐかそのぐらいという感じだった。人通りも、後者のほうが多かった。
彼女等がお土産屋に入ってから出てくるまで、外ではどのように時間が経っていったのだろう?
時間が逆行したのか、あるいは、2人がお土産屋さんでちょっと買物をしている間に外ではたちまち23時間ぐらいが経ってしまったのか。
とにかく、考えてみれば不思議な話だ。この地域では、時空が歪んでいるのかもしれない。
そこに、またあまりにも偶然なひし形美青年の登場である。
ますます時空が歪んでいる、と僕は思った。
きっと、トンネル効果によって、エミのイメージがこの小さな城塞都市にポっと具現化したのであろう。
そんな推測を僕はしてみた。時空が歪んでいれば、そんなこともきっと起こる。
エミのPrimiere Romance は、こうしてこれからますますインフレーションだ。
パトリスは、今朝もなんだかより一段と気合が入っていて、やたらに体をばたつかせながら盛んにいろいろと動作をしていた。
遙ちゃんは相変わらず手をお腹の位置で結んで口をとんがらせてすましているし、大木教授は今日はスマートな週末のインテリ、という感じであった。
発音練習をするパトリスと遙ちゃんの2人の絵は、なんだかまるで高級ブティックにやってきた馴染みの高貴な御令嬢と、効率よくその採寸をする店員のようであった。
ドミニクは今日は白の上下。帽子も被っていてこれも白、という格好だったが。
今日はじめて、彼は今月から毎日朝僕に注射をしに来る先生と似ているということに気がついた。
鼻と、目の感じが似ている。あと、輪郭全体も。
しかしそうは思ったのだが、逆にさっき彼が注射に来たときはドミニクのことはまるで思い出さなかった。
あとまあひとつ気になった点は。
番組の最後にベアトリスが
「私は5人兄弟の一番上なの。本当は素敵なお兄さんが欲しかったわ。」
と言うので大木教授が
「じゃあ、僕がお兄さんになってあげよう。」
なんて答えたのだが、関西弁のベアトリスが
「冗談はおよし。」
みたいなことを言ったのはいいとしても。
そのあとで遙ちゃんが、さらに追い討ちかけるように
「うん。それはよしたほうがいいわ。」
なんて言ったことだった。
01/07/19
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