beat a person to a pulp

beat a person to a pulp

そのまま解釈 一人の人間ををひとつの製紙原料になるまで打つ
慣用句としての意味 たたきのめす
採集場所 http://www.spacewar.com/2003/030504185707.eazyi7tf.html
慣用句度 ★★★★
とりあわせ ★★
意外性 ★★★

なかなかステキな慣用句。
打てば打つほど、しまいに紙パルプになっちゃうそうです。ちびくろサンボのトラみたいですね。
やっぱり、慣用句はこのぐらい夢がなきゃいけない。

beat も pulp もなかなか興味深いです。


ということで、まずは beat から。
まだ「NHKやさしいビジネス英語グロッサリー」にはアップしてませんが、 "beat someone to the punch" というやさビジ頻出熟語があります。
とりあえずすぐ思い出せるところでは、2001年9月号第1週「layoff wave」。
Personal Anecdote で申し訳ありませんが、このビニェット、僕がはじめて聞いたやさビジのビニェットで、実は特別思い入れ深いです。

さて、"beat someone to the punch"の意味を調べてみると...。
To make the first decisive move (American Heritage)
やさビジでは、「先手を打つ」というような訳があてがわれていました。

beat というのは人さまになじみのある動作なだけに、慣用句も多いです。ちょっと今辞書を調べてみたら、もう、出てくる、でてくる。

beat one's head against a wall
失敗するに決まっていることをする

beat a person's head off
頭が飛ぶほど打つ、徹底的に打ち負かす

beat a dead horse
To continue to pursue a cause that has no hope of success

beat a person to ... というものでは、

beat a person to it
人の先手を打つ、出し抜く

beat a person to snuff
人を完全に打ちのめす

などなど。きりがないです。"beat a person to snuff"も、かなり意味不明ですね。
(辞書はいずれも英和小学館プログレッシブ、英英American Heritage)


次に pulp 。

"a pulp" になるのですよね。加算名詞である"a person"は、加算名詞たる"a pulp"に変化するということです。
でも、ちょっと違和感ありますね。あの紙原料のパルプは、いかにも不加算名詞の見本のようなシロモノです。
"a 製紙原料"というのは、ちょっと概念として捉えにくい。

そこで、American Heritage を引いてみると...。
なんと、実はここでは"pulp"は「紙原料のパルプ」ではなくて、「どろどろしたもの」。

1. A soft, moist, shapeless mass of matter.
2. The soft, moist part of fruit.
3. A mass of pressed vegetable matter.
4. The soft pith forming the contents of the stem of a plant. (pith; 髄)
5. A mixture of cellulose material, such as wood, paper, and gars, gound up and moistened to make paper.

ということで、紙パルプのパルプが登場してくるのは、なんと5番目。その前に、「どろどろのもの」とか、「果肉」とかそんなようなのがずっと続いています。紙パルプは、けっこう派生的なものなのかもしれません。
加算名詞の根拠は、1番目のものでしょうか。
"a mass"ということで。

プログレッシブの"pulp"の項目によると、
1. [時に a 〜] どろどろしたもの
とあり、どうやら不加算が普通ながらも加算名詞ということもあるということのようです。

そして、その下のほうには、
beat a person to (a) pulp
と、ありました。冠詞の a はあってもなくてもよいようです。
なんだ。どっちでもいいんじゃん。

be reduced to (a) pulp
どろどろになる、へとへとに疲れる(プログレッシブ英和辞典)


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