めいきんぐ・おぶ・びよらじょーく "その24 海にいるのは・・・"
特にこの作品には触れるつもりもなかったのですが。
配置替えをしたついで、ということで。
本来"その9"という位置にいたのですが、"湖の精 その3"という新作ができてしまい、動かしやすい、という理由だけで外科的にいちばん後ろに追いやられてしまった、言ってみればかわいそうな、びよりすとのような作品です。
内容自体に、特に指摘することはないでしょう。
げんさんのHP(びよらじょーくへのリンク、として紹介しているページです)にある同じような3択ネタを参考に、「波間に見えかくれするびよりすとを貶める」というコンセプトで作った小ネタです。
げんさんのHPは、とてもおもしろいです。量は多いですが、今この"めいきんぐ・おぶ"を読んでいるぐらいの暇のあるびよじょーファンのあなたなら、絶対に気に入ると思います。是非とも、読んでみてください。
タイトルは、中原中也の「在りし日の歌」にある「北の海」という詩からとりました。
北の海
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
曇った北海の空の下
浪はところどころ歯をむいて、
空を呪ってゐるのです。
いつはてるとも知れない呪。
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
この詩には実はちょっとした思い出がありまして。
高校のころ僕は合唱部だったのですが、高校3年生の夏にあったとあるコンクールで、最近力をつけてきているな、と思っていたJ女子高校が、そのときの自由曲で、違う作曲家がこの詩を扱った2曲を連続で演奏してきたのです。
これが、キレと勢いのある、すばらしい演奏でした。
特に、彼女たちの自由曲2曲目のサビのフレーズになった、
「海にゐるのは、あれは人魚ではないのです。海にゐるのは、あれは、浪ばかり。」
のところを聴かされてドキっとしたときのことは、今でも鮮明に思い出すことができます。
北海の海のような荒々しさと厳しい迫力のある演奏でした。
うかうかしていると、何かを奪われてしまうかのような。
当時の僕らにとって、この大会で金賞を獲って都大会に進む、というのが至上命題だったので。
正直、僕は個人的にはかなりアセりました。
地区コンクールで金賞を取るのは3校。しかし、3校のうち、必ず1校は都立高校が入ってくる、ということはこのコンクールの"きまりごと"のようなことでした。
僕の高校は私立です。
僕の高校は前の年に金賞を獲っていたのですが、ただでさえ「前年より力が落ちるのではないか」と、顧問の先生が思っているようなフシもありました。
しかも、誰もがその力を認めているがこれまでこのコンクールには出てこなかった全国区の実力校K女子高校が、何の気まぐれか、その年に限って、突然このコンクールの同じブロックにエントリーしてきたのです。
前年にやはり金賞を取ったO女子高校も、層が厚く、毎年安定した成績を残している学校です。
自分たちの番がまわってくる前に、すごいものを聴かされてしまいました。
キツいなあ、と僕は思いました。そして、そう思ったのは僕だけではなかったようです。
・・・結局、僕らは次の大会に進み、J女子高校は進めなかったのですが。
"あのコンクールでよかったと思う3校を挙げろ"と言われれば、僕は迷わず、そのうちの1つにこのJ女子高校を挙げます。
あの演奏は、本当にすばらしかった。いまでも印象に残っています。
彼女たちには、アンラッキーだった、としか言いようがないです。
僕らのあいだでは、そのあとしばらくJ女子高校のことがよく話題にのぼり、そのときの演奏のマネをすることが流行りました。
そんなわけで、
「海で、何か特別なことが起こっている」
と思うと、僕はあの演奏、この詩をつい思い出してしまうのです。
タイトルをこれにしたのも、そんな理由です。
01/05/23
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