アテネオリンピック最終予選 日本-UAE

アテネオリンピック最終予選 日本-UAE


後半37分:
日本側競技者が右からコーナーキック。右足で蹴ったボールは一度ゴールラインを超えてからフィールド内に戻ってきた。A2はボールがゴールラインを越えた瞬間に旗を揚げてその旨合図をしたのだが、Rは気づかずプレイが続き、最後は、そのボールをUAEゴールキーパーが手で保持した。
A2は、ゴールキーパーが手でボールを保持したところで、ゴールキックでの再開を合図するようにゴールエリアを旗で指し、コーナーアークのところで頑張る。Rはそれにも気づかずプレイが続行され、UAEゴールキーパーがボールをフィードしてさらにプレイ続行。画面から消えるかどうかというところで、A2はコーナーアークから離れ、あきらめてラインに戻りだした

このシーン、Rは、A2からゴールラインをボールが割ったという合図がでた時点で、ゴールキックで再開の合図をしなくてはならないところだった。結果としてUAE側にボールが行ったから良いとかいう問題ではない。ボールがラインを割ったら、プレイを止めなくてはならない。
はっきり言わせてもらうが、超基本である。コーナーキックのボールが巻いてきたときに副審を見ることをうっかりするなど、お話にならない。国際主審やる資格ないです

また、A2も、このシーンでは、キーパーがボールを持ったからというのは、ゴールラインを割ったという旗での合図を止めてよい理由にならない。おそらく、Rが気がついているそぶりがないし、何らかの動きをしないと決まりがつかないのでそうしたのだろうが、あのまま頑張っていて欲しかった。

というわけで、このシーン、両者とも×。十歩譲って、A2は△


R; 陸俊さん(CHN)
実質的に勝負が決まってしまったあとも、サボらずに良くやっていた。競技者の交代が一度もなかったためひと息つく余裕もなかったはずだが、そんな中でもがんばったとは思う。
が、冒頭に指摘したような致命的なミスもあったし、判定の一貫性という点でもいろいろと疑問があった。速攻、遅攻ともに、顔を出すときと出さないときがときどきあるのが気になった。他に気になったのは、競技者に文句を言われると神経質な反応をしていたようなところ。
あと、後に何度か触れるが、左前方タッチライン付近で攻撃側の競技者がライン側から突破を図ろうとして両チームの競技者が交錯するシーンで、位置取りの発想がおかしいのではないかと思う

A1; サイードさん(MDV)
採点ナシ。

A2; マラシンゲさん(SRI)
上に指摘した以外にも、試合終了間際にはゴールキックの合図をゴールラインから遥かに離れた地点でするなどしていた。キビキビやってほしい。

4th; ファッドリさん(KUW)
日本の監督がピッチ側まで出てきて長い時間指示を出している場面があったが、あのシーン、4thはきちんと制止しに行くべきではなかったろうか。後で指摘したい。


試合開始前:
両チーム競技者がピッチ内でボールを蹴っているとき、Rは自分の持っているボールを後ろ両手に持って試合開始を待っている。
競技者が触っていたボールが試合用のボールかどうかは分からない。おそらく違うと思うのだが、どうだったのだろう。

前半2分:
田中達也を後ろからのスライディングで倒したUAE競技者がうずくまる。立たせて警告。
RはすぐにUAE競技者のところに行き、警告するという意志を見せた。スライディングで相手競技者を倒した行為に対してのものだろう。
(BS2では「中々起きないこの選手にイエローカード」という言われ方がされていた)
このプレイのあったとき、Rの位置は20yd近く離れており、角度的にも足がひっかかったのかどうか分かりにくいものだった。A2のサポートのもとに警告を決断したようにも思えず、「よく警告したなぁ」というのが、僕の正直な感想だった。

前半6分:
日本の攻撃。左前にでたボールを大久保がキープ。エリア横から突破を図る。
Rは、忙しいシーンだったが、直線にエリア方向を目指して動き、よくプレイに追いついていた

前半7分:
日本、右手前からのFK。
Rは、ペナルティーアーク左側に向かって縦に歩きながらボール、エリア内の競技者を見ている。この試合、彼がこの位置でこの動きをしているのをよく見ることになる。

前半9分:
UAEが縦にボールを出す。UAE競技者が迫ってきたのを受けて、日本競技者がセーフティーファーストでボールを左タッチラインへ蹴りだす。
Rの位置はセンターサークル付近で、20yd近く離れて歩いていた。前半6分の日本の攻撃シーンとは逆に、Rが遅れていたシーン。結果として何もなかったとはいえ、何かあったら決定的に遅れていただろう。僕は感心できない

前半10分:
日本、田中達也が相手陣左奥から切り込もうとして倒され、フリーキックを得る。
このシーンでは、Rは近くでよく見ている。

前半11分:
UAE陣左奥、コーナー付近で両チームが折衝。ボールはゴールラインを割る。
このシーン、ボールがラインを割る前にUAEにファウルがあったらしく、フリーキックでの再開となったが、合図が分かりにくかったので、コーナーキックでの再開かと思った。

前半11分:
左からのフリーキックに日本側競技者が頭であわせ、得点。
シュートのとき、Rの位置はエリアの角。ボールがゴールポストとクロスバーの間を通過するかどうかという段階で笛を口にくわえ、一瞬でA2を確認し、すぐにゴールの合図。

前半13分:
UAEペナルティーエリア前のところで日本側競技者が相手競技者を掴む反則(詳細忘れた)。
判定をした段階で、Rは、真後ろから追いかける形、10ydぐらいのところにいた。

前半17分:
UAE、相手陣左コーナーアーク付近までボールを持っていき、攻撃。
Rは近くでよく見ていた。

前半18分:
A1、オフサイドの合図をする(だったと思う。ちょっと忘れた)
A1は、タッチラインから一歩入ってきて合図している。

前半23分:
林にバックパス。ゴールキーパー林は慌ててボールを大きく蹴り、左タッチラインを割る。
このシーンも、慌てたシーンだったにもかかわらず、Rの位置はセンターサークルの中。悠長。びっくりした

前半25分:
大久保が相手陣左、ゴールライン付近でボールキープ中、UAE21番に後ろからスライディングされ倒される。Rは近くにいたのだが、お咎めなし。再開はスローイン。
田中達也が倒されてすぐ警告が出た前半2分のシーンと鑑みて、判定の一貫性という意味でどうかと思う
というか、どう考えてもこのシーンだけで十分に警告に値する。

前半26分:
平山、センターサークル付近でボールを胸でトラップ。Rがハンドの判定をする。
平山が「違うっしょ。まあいいけど。」という顔をすると、Rは怪訝そうな顔をした。

前半27分:
平山、警告を受ける。
詳細は分からない。ハイボールを相手競技者と競ろうとして何かあったようだが。
直前のRの態度のこともあって、不可解に感じた。

前半30分:
日本とUAEが、向こう側タッチラインでボールを奪い合う。日本がボールをキープ。縦に出した。
Rは一度笛を口にくわえるが、結局吹くことはなかった。UAEの反則を取ろうとしたが日本側がボールを進めたので止めたのだろうか。アドバンテージの合図が必須というほどはっきりしたプレイがあったわけではないし、あんなものか。

前半30分:
平山倒される。
Rは20yd弱離れてうしろから見ていた。遠い。

前半32分:
左奥から田中達也が突破を図る。
Rはそのとき、近くまで来てジョグしながらボールの動きを見ている。

前半32分:
日本、右奥に切り込み、反則を受ける。
すぐ側で見ていたA1の合図を受け、Rはフリーキックでの再開を合図。A1は、フィールドに入って場所を示した。
(第6条)副審
副審は2人任命される。副審の任務は主審の決定に従いつつ、次のことを合図する:
・主審の見ていなかった不正行為やその他の出来事が起きたとき
・違反が起きたとき、その行為に副審が主審より近いときはいつでも(特定の状況下で、違反がペナルティーエリア内で起きたときを含む)
援助
副審は、主審が競技規則に従って試合をコントロールすることを援助する。特に9.15メートルの距離をコントロールする援助を行う目的で、フィールドに入ることができる。

前半33分:
UAEはボールを保持し、左から日本ゴール付近まで迫る。センタリングはクリアされ、日本が逆襲。左からの攻撃で、相手ゴールエリア付近まで進む。
このシーン、縦にまっすぐ走っていき、逆襲からの一連の動きにRはよくついていっている。よかった。ただ、もうちょい速く走って、ボール、複数の競技者が同時に見える場所を維持しながら走っていれば、尚よかった。前半2分の田中達也が倒されたシーン、前半30分の平山が倒されたシーンと同じアングルであった。あの位置関係では、競技者同士の交錯は判定しづらいだろうに

前半34分:
大久保、右エリア付近で縦に突破を図るも、反則を取られる。
相手競技者を追い越すときに掴む反則をした。

前半36分:
日本側競技者が手前側タッチラインにボールを蹴りだしたとき、UAE競技者と交錯する。UAE競技者に警告。
危険なスライディングで、警告は当然
そのあと、うずくまっている日本側競技者の近くに来た山本監督が、長々と選手に指示を出しているが、4thがそれを咎めていた様子はなかった。
第4の審判員
・第4の審判員は、主審によって要請された試合前、中、後の管理上の任務を援助する。

(第3条)競技者の数
国際評議会の決定
決定2
1人のチーム役員は、試合中に戦術的指示を競技者に伝えることができるが、指示を伝えたら所定の位置に戻らなくてはならない。全てのチーム役員は、テクニカルエリアが設けられている場合には、その中にとどまっていなければならないし、責任ある態度で行動しなければならない。

テクニカルエリア
第3条国際評議会の決定2に規定されているテクニカルエリアは、特にスタジアムの中での試合において使われるものであり、チーム役員と交代要員の座席部分を含めて図(省略)に示すようなものである。
・その都度ただ1人の役員のみが、戦術的指示を伝えることができるが、指示を与えた後は直ちに所定の位置にもどらなければならない。
トレーナーや医師が競技者の負傷の程度を判断するため主審からフィールドに入る承認を得た場合などの特別な場合を除いて、監督と役員は常にテクニカルエリアの中にとどまっていなければならない。

山本監督は、明らかに競技者に指示を伝えるためにタッチライン付近まで来ている。
4thは、Rを援助する目的で、テクニカルエリアを越えて指示を出しているチーム役員に対して、所定の場所に戻るよう指示しなければならなかったのである。

前半40分:
セットプレーから日本得点。
Rの位置は、1点目とほぼ同じ。エリアの左角ぐらい。
A1が得点の合図のためにセンターサークル方向に走っていき、画面を一瞬で横切った。合図としての意味合いが済んだ段階で、走るのをやめて歩きはじめた。

前半45分:
A2の側で日本が反則。フリーキックとなる。
A2の合図でフリーキックとなった。

前半45分:
4th、ロスタイム1分の合図。


後半キックオフ:
Rの位置は、センターサークルとセンターラインの交点。

後半1分:
UAE競技者が自陣で反則をする。直接フリーキックで再開。
UAE競技者が何か不満を言ったらしく、Rは何か言いにいった。

後半7分:
UAE側エリア手前正面での折衝。Rにボールが当たる。

後半7分:
A2はゴールライン上まで来てからゴールラインを越えたという合図。

後半11分:
UAE、イブラヒムが退場処分を受ける。乱暴な行為。
交錯したついでにケリを入れたようだ。再生映像の角度からは分からなかったが、きっとしっかり入ったのだろう。

後半14分:
日本、右からのFK。
Rは、ここでもこれまでどおりの位置取りと動き。

後半18分:
両チーム競技者がつかみ合ってボールを奪い合う。
すぐ側で見ていたRの判定はUAEボール。テレビで観る限り、なんともいえない。

後半20分:
UAE側タッチ付近で微妙なプレイ(詳細忘れた)。
Rはセンターサークルとセンターラインの交点あたりにいた。25ydぐらいはあったのではないだろうか。足も止まっていた。×。

後半24分ぐらい:
UAEゴール前でかなりシビアな折衝。最後にUAE側のゴールエリア内からのキックで再開になった。
Rは折衝の始まったあたりではエリアの入口を左にジョグしていたのだが、一連の折衝の終わりにはゴールエリア付近まで入り込んできており、ボールがラインを割ると同時に再開方法を合図。これはグッドだった
ただし、何かのゼスチャーがあったが、この意図は不明。ゴールキックでの再開ではなく、日本側競技者がUAEゴールキーパーの手を蹴ったことを反則と取ったということなのかもしれない。

後半25分:
UAE側エリア付近で田中達也が倒される。Rは日本ボールのフリーキックを指示。
このシーン、直後に田中達也が「今の、警告でないの?」というような雰囲気でRに何か言うと、Rは「オレに、モンク、イウナー!」という雰囲気で言い返していた。
それまでのこともあり、神経質な反応だな、と思った。
平山がそういう行為の直後に警告を受けたので、田中も次の機会に安易に警告されるのでないか、と心配になった。結局杞憂だったが。

後半27分:
平山、胸トラップをハンドとみなされる。
Rはセンターサークルを挟んで対面、20ydぐらいの位置。

後半31分:
手前側タッチライン、日本側コーナー付近から縦にでたボールがつながり、そのままUAE側ゴールラインを割る。
A2はしっかりついていき、ゴールラインの延長線上で合図した。基本。

後半40分:
大久保が相手エリア付近正面やや右でキープしたボールを左の平山に出し、平山がシュート。GKに阻まれ得点ならず。
このシーン、Rは大久保の動きに合わせてペナルティーアーク付近を左に移動し、平山が仕掛けるタイミングで斜め右に切り込んでいき、近くでプレイを見た。ベリーグッド

後半41分:
向こう側タッチライン、日本側競技者が相手競技者のボールをスライディングで奪ったが、反則を取られた。
いいスライディングに見えたが...。このときもRは前半33分などで指摘したアングル。どうかと思う。

後半43分:
日本のフリーキックからのプレイ、ボールはそのままUAE側ゴールラインを割る。
A2はゴールラインから20yd以上も離れたところでゴールキックの合図をした。怠けすぎ

後半45分:
エリア内で大久保が倒れる。
Rは両手を挙げ、広げたり閉じたりする合図をくり返し、反則がなかったことを合図。プレイの続行を指示。

試合終了直後:
UAE競技者が、ボールをあさっての方向に大きく蹴る。
主審の権威は試合終了の笛を吹いた時点でなくなるが、厳密なことを言うと、こういう行為も主審により審判委員会に報告され、何らかの処分の対象になり得る。
もちろん、試合終了直後に審判をなじる等の行為も同様である。


テレビ・アナウンサー・解説(BS1):

前半0分:
画像が遠景になる前に、突然キックオフ。
西が丘が1分遅れで始まったとのこと。通常、こういう予選の最終戦はすべて同一時間にキックオフになるということを考えると、試合前にキックオフ時間についての打ち合わせがあって、それまでは試合が始まることはないだろうということになっていたのに、突然始まってしまったということではないだろうか。
後半の開始も西が丘と同時でなかった(し、むしろ、遅く始まった西が丘が早く後半を開始した)ので驚いた。

前半18分:
アナウンサー「なかなかファウルを取らない主審ですね。」
僕は、そうは思わなかった。アナウンサーは、何をもっとそう判断したのだろうか。

前半20分:
茂庭がシュートを外しくやしがるが、またすぐシュートチャンス。失敗。解説者「茂庭はシュートが決まらなかった後頭を抱えている時間が長い。すぐ切り替えろ。」
適切...。
大久保の二点目では、自ら打ったシュートがバーを叩いたが、その後の混戦でも腐らずすぐに動き出して自分で決めている。そういうところが点を取れるか取れないかの違いなのかもしれないと思った。

前半22分:
解説者「左からの攻撃が多いのは、大久保、田中達也が開いてボールをもらいに行き、数的優位を作っているから。」
すばらしく分かりやすい解説だった。これぞ解説。

前半40分:
日本セットプレーの場面。
解説者「ここは、茂庭にガッツポーズをしてもらいましょう。」
ガッツポーズはいいから、よく集中していいシュートを決めて欲しいと思った(笑)

後半14分:
大久保、相手エリア付近でパスを出すタイミングで交錯。同時にうずくまる。
ビデオで再生されたのを見ると、足をかけられていたか怪しいような...。ダイブだったのだろうか。
再生画像を見て、解説者、一言「大丈夫ですね。」

後半20分:
アナウンサー「このあたり、選手にも余裕が出てきたような。」
Rの足も止まっていた。「Rのやる気も失せてきたような」と思った。
というか、冒頭のRへの評価でも触れたが、この試合では、競技者の交代がなかった。
競技者の交代がないと、Rもひと息つくことができず、かなり疲れる。特に、このぐらいの時間がいちばん苦しい(というのが、公認審判員経験者としての僕の実感)。
たいていの試合ではこのぐらいの時間にはたいていどちらかのチームに交代があり、ひと息つけるのだが。
Rは、あとで高松がアップを始めたのを見て、「ああ、すぐに交代してくれないかなぁ...。」と思ったかもしれない(笑)

後半28分:
大久保が相手エリア付近で縦にパスを受けるが、トラップミス。
その後、「あ〜あ。疲れた。」とゲンナリしているところを、テレビがよく捉えていた(笑)

後半29分:
阿部、大久保といったところがよく馴染んで活躍しているという点について。
解説者「それだけよく山本監督がチームをまとめたということです。」
感動的にすばらしい指摘だった。いい選手を持ってきたから活躍した、というものでもない。


その他:

今回、スピード重視で書いてみた。所要時間1時間45分ぐらい。前回書いた日本-ナイジェリアの1/5ぐらいである。前回はやりすぎた。もう、一生あんなに書きたくない(笑)

審判団の紹介のテロップが一瞬でメモを取りきれなかったので、そこだけ再生しなおして確認した。いつも言ってるが、あれこれ批評するつりがあるのならば、テレビには、もうちょいちゃんと審判を紹介して欲しい

この試合のRは、2001年の日本とイタリアの親善試合のRとは違う、よね...?
似ているような気もするし、似ていないような気もする。どうでしょうか。誰か教えてください。

A2は銀髪のダンディなオヤジ。レスリー・ニールセンを褐色にしたような印象を持ったのは僕だけだろうか?

04/03/19


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